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IFAが実際に行う資産運用の公開レポートメルマガ 【ペレグリン・ポートフォリオ・ウォッチ】2020年4月号

COLUMN
2020年4月


【3月の投資環境】マーケット・コメント

(株式)

3月には新型コロナの感染が世界全体に拡大し、欧米で移動制限及びイベントの自粛や中止措置が取られました。景気後退リスクや資金繰り懸念から世界株式は大幅下落となり、また、急激に変動性が高まりVIX指数(恐怖指数:金融市場の変動性が高まると上昇する。)はリーマンショック時並みの上昇となりました。G7各国は協調金融緩和(利下げ、量的緩和の拡大、ドル資金の供給等)や協調財政支出(企業の資金繰り支援、休業期間中の経済支援等)で金融市場の安定を図りました。しかし、将来不安が市場を飲み込み、金融市場は下落基調で推移しました。感染拡大に伴う移動制限の延長等による経済活動の停滞で景気後退が予想されており、当面は上値が重い展開が見込まれます。

 

(債券)

新型コロナの感染拡大による経済下振れリスク回避策を目的に各国が利下げに動いたことから、債券金利は低下しました。しかし、財政支出の拡大懸念やドル資金の需要増などから金利が上昇する局面もありました(多くの投資家が、通常安全資産と考えられている債券やゴールドを含む金融資産全てを売却し、ドル現金の積み上げを図ったことから、金利は一旦大幅に低下したものの上昇に転じる局面がありました。)。新型コロナの終息が見通せないことから、多くの企業は手元資金(ドル現金)を手厚くすると見込まれ、ドル資金の手当て状況によって、金利は大きく上下することが予想されます。

 ■主な投資行動とポートフォリオの状況

2月末の当ポートフォリオは、キャッシュ90.4%、米国株式9.6%の状態で、基準価額は9,969円でした。2月19日に米国株式市場が史上最高値を更新する中で、ファンダメンタルズとの乖離を警戒して組み入れ比率をいったん半分に落とすため組入れのインデックスファンドを半分ずつ売却していました。

 

3月に入り、コロナショックによりマーケットの大幅下落が始まると、この時はまだ影響が長期化したり金融市場に甚大な影響を与えたりする見方は少なかったため、3月初旬に再度米国株式(同じくS&P500指数連動型インデックスとナスダック100指数連動型インデックス)を約5%ずつ買い戻しました。

 

 

3月中旬に入るとさらに市場の不安感が増大し、世界同時株安が進む局面では市場の混乱が当面続く可能性を考慮し、コモディティのゴールドを10%新規に組入れました。

 

結果的には、日経平均株価は17日と19日に取引時間中に16,000円台の安値を付けることになりますが、その少し前、12日に日経平均株価指数連動型インデックスファンドを基本ポートフォリオ15%に対して約5%分の買付けを、翌13日には更に米国株式(上段と同様それぞれ5%ずつ)を約10%分の買い増しを行いました。ですので、現状では基本ポートフォリオ海外株式40%に対して約20%近い組み入れ比率となっています。

 

日経平均株価は19日に、NYダウは23日を底に、一旦一番底を付けたような動きではありますが、市場の変動率を指数化したVIX指数(別名恐怖指数)は3月19日前後をピークに依然高水準であり、2008年のリーマンショック後と似通った展開を見せています。

 

当ポートフォリオでは、米国ですら今年の景気後退が避けられない状況になりつつある現時点では、当時と同様実体経済と企業業績の大幅悪化を織り込んだ後に二番底を付ける可能性を見ており、それには約半年の期間は要するだろうことを考えると、当面は自律反発局面であっても春先以降の決算シーズンに向けて警戒感を解かず、慌てず下値を丁寧に狙っていくスタンスを取るものとします。

■ポートフォリオの基準価格推移(2020年1月~2020年3月31日)

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■2020年3月31日時点のアセットアロケーション

 

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■組入れ資産の状況

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■今後の方針と見通し

米国での2兆ドル規模の経済対策、桁外れの米国失業保険申請者件数、世界各国の財政赤字、ブロック化する経済。コロナショックは、仮に感染拡大が止まったとしても、その後も経済、さらには社会構造に影響を与えることになりそうです。 

 

株式市場のバリュエーションの割安感を指摘する声もありますが、業績の先行きが見通せないため、ファンダメンタルズ分析は機能していません。そのため、現段階で「株価が底を打った」と判断することは難しいのが現実です。こうした局面において投資に重要な視点は、大局的な視野を重視することと、時間を有効に使うことです。

 

 コロナショック後の投資環境においては、一日も早い感染拡大の終息が一番ですが、様々な変化について抑えておく必要がありそうです。

 

例えば、米国企業は概して自社株買いに積極的ですが、今回のコロナショックによって自社株買いを中止する企業が出てきています。本来自社株買いは、発行済み株数の減少によって1株当たりの利益を押し上げる効果や、市場に出回る株式数の減少による需給の改善、自社の株式が割安だと市場に発信するアナウンスメント効果などがあります。しかし今後はこれまでの状況とは異なり、自社株買いによる長期的な株価の下支え役が当面は不在になりそうです。

 

また、原油価格も大きく下落しています。産油国の財政は急速に悪化し、産油国の政府系運用ファンドは最近の株価下落で1兆ドル規模の損失を抱えていると言われており、多くの産油国の政府系運用ファンドは政府の資金需要に対して3月で1500億ドル近い株式を換金、今後も追加で売却するとも報じられています。

 

春先以降の決算シーズンを控え、投資家は業績悪化を早く折り込みたいところですが、企業側は急激に変化する経済環境に対して自社の見通しや情報を撤回しており、金融機関側も予測の調査ができず、リスクシナリオを過小評価する傾向に陥りやすいとされます。先行きの見通しが立たない中で当面は株式市場には売り圧力も強く、値幅の大きい不安定な動きが継続しそうです。

 

今後の見通しについては、新型コロナウイルスの感染拡大が長期化し、マーケットは世界経済のリセッション(景気後退)を織り込んでいく過程に入ると想定し、一旦現在のポジションを維持しつつ、タイミングを急がずに(既にいくらかはリスク性資産を保有しているため)ポートフォリオのリスクを高めていく機会を慎重に見極めていく方針です。

 

現在当ポートフォリオは約半分をキャッシュとしていますが、基本的にはこの状態を維持し、市場の混乱や株価の調整が長期化する場合に備えます。一方では世界的に再び大きく金融緩和に舵を切ったことを念頭に、コロナショック後の過剰流動性相場、将来的な株式性資産の価格上昇というシナリオも想定しつつ、米国を中心とした海外株式への追加投資や、リート、利回り水準が上昇した金融機関の債券への投資について、タイミングを注視していくことになります。 

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