◇ペレグリン 社長のコラム◇
第67回【NISAの活用~インデックス投資のデメリット~】
第67回
NISAの活用~インデックス投資のデメリット~
前回、NISAの活用にはインデックスファンドが人気ですが、インデックス投資は「敗者のゲーム」とも呼ばれている、というお話をしました。
ではここで、インデックス投資のデメリットについてお話ししましょう。
一般的にインデックスファンドは人気ですが、積立投資において、インデックスファンドを使った運用に成功するためには、株式市場全体の動きが右肩上がり、あるいはV字型、U型というような、最終的に尻上がりであることが必須になります。
途中で下がっていても、最終的に上昇局面があれば利益が出やすい投資手法ではありますが、逆に右肩下がりの局面でたまたま資金が必要になり、取り崩さないといけないという場合には大きな損失がでる可能性があるということには注意が必要です。
つまり、インデックスファンドは低コストで万能というわけではなく、やはり指数が上昇しないと結果がでない、ということになります。
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では、過去を振り返ってみましょう。
例えばS&P500に代表される米国市場は、過去30年、かなり特殊な強気相場でした。
ここから先の30年、同じような上昇相場で再現するのは不可能だとすれば、出口のタイミング次第ではインデックスファンドの積立投資と言ってもリターンがでない可能性もないとは言い切れません。
では、過去150年と長期間を振り返ってみます。
過去150年のS&P500株価指数の実質的な伸び率は、実は1991年から2020年の30年間においては平均年率で+6%でしたが、それ以前の120年間で見ますとおおよそ+2%という水準です。
悪い局面では年率で0.2%ほどしか上がっていない時期もあります。
なぜ直近の30年間は上昇率が高くなったのかと言うと、アメリカの金利がこの30年間で7%ほど下がっていることに原因があります。かなり大幅な金利低下局面です。
一般的に、金利が下がると株価は基本的には上昇しやすいとされます。企業の銀行コストが低下して設備投資など投資活動が活発化するため、業績向上につながるという思惑が働くからです。
それではここから先30年間で金利は下がるのかと考えますと、金利の上昇余地も限られてきており、過去のような大きな低下局面は難しいことが容易に想像できます。
そうしますと、株価のパフォーマンスもそれ以前の120年間のリターン水準に回帰するのではないだろうか、という考え方もできるわけです。
実際、世界的に見れば先進国の中ではアメリカの金利水準は高いです。日本も今後は利上げをするという見方もあります。
つまり私たちは、今後、金利が有る状況に戻っていく可能性があるということは念頭に置いておいた方がよいのではないかと思います。
では、もう一度アメリカS&P500種指数の過去を長期間で振り返ってみます。
120年間という長期でみますと、直近の30年間で株価が低迷していた期間は、実はたった8年間だけでした。それ以外は全部上がっていました。それ以前の120年間を30年ごとに区切ってみると、実は株価が低迷していた期間の方がむしろ長くて、30年間のうち20年間ぐらい株価低迷していた期間が3回ありました。
大まかにいえば、20年間も株価が上昇基調で平均的にプラスにならなかった時期が、過去120年のうち3回もあったということなのです。
ここから言える人間の典型的な過ちというものは、大局的に過去の動きから考えるのではなく、直近の動きがこの先もずっと続くと勘違いしてしまうことだと思います。
言い換えますと、直近の30年間の株価上昇体験がこれからも続くだろうと期待してしまいがちですが、大きな期待外れに直面するかもしれないということであり、私は慎重に考えています。
こう言ってしまえば少し暗い話になってしまいますが、ではどうしたらいいのか、ということですよね。
マーケットにはサイクルがあるという根本原理を考えますと、次の30年においては、「インデックス投信で十分、資産運用は1人でできる」という考えは、過去の一時的な事象が今後も続くと思い込むことに由来するにすぎません。
私は、これからはアクティブファンドへの分散投資も検討の価値があるのではないか?と言いたいのです。あるいは、きちんと資産運用のアドバイスを受けた方がいいのでは?とも思います。
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