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元ファンドマネジャー【IFA佐々木のコラム⑱】
外国債券の利回りと為替変動リスク、どちらを重視しますか?

COLUMN
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資産形成・豆知識18.

外国債券の利回りと為替変動リスク、どちらを重視しますか?

日本の預金、債券金利は、ほぼゼロのため、金利収入を得るために、利回りの高い外国債券への投資を検討されている方も多いのではないかと思います。

その際に、問題となるのは為替変動リスクです。外国債券で年2%の利息を得たとしても、為替が年2%円高になっただけで、1年の投資として、円換算では損失になってしまいます。

ドル円の為替変動リスクを年±10%(市場環境により変化します。現在は、±6%程度。リーマンショックのような危機が発生すると大きくなります。)と仮定すると、為替変動が金利より大きいため、債券はある程度の期間保有することを前提にしないと投資として成立し難いことになります。「高金利通貨であれば良い」との意見がありますが、高金利通貨の為替変動リスクは先進国通貨より大きく年±15‐30%であると推測されますので、1年間(または、短期間)で考えれば、高い利息を得られる反面、円換算では為替変動で、あっという間に損失を被る可能性があります。

為替変動リスクとは、為替の変動性を統計的に処理したものです。年±10%の変動性(標準偏差、ボラティリティー、1シグマと呼ばれています)とは、為替は日々アッチに行ったり、コッチに来たり、いろいろ変動しますが、1年後に現在の価格の±10%の範囲に収まる可能性が68%あるということです。

この年間の変動率(ある1期間でも可。)で、68%の可能性に収まるn年後の価格変動性を計算できます。

理論的には(年間変動率)×√nが、n年後に68%の可能性に収まる価格変動性になります。つまり、3%のドル建て外国債券を10年保有すれば、合計30%の利息を得ることができ、10年後にドル円は、±10%×√10=±31%の範囲内に、68%の確率で収まる可能性がある、ということになります。

いかがですか?
10年間保有するのであれば、計算上は負ける可能性が低いことをイメージできるかと思います。

実際の数字で考えると、(現在の為替を100円、クーポン3%とします。)
外国債券を10年間保有する時、10年後の為替による損益分岐点は70円ですが、10年後に推計される為替の68%の可能性範囲は、69円~131円です。10年間合計の利息は30なので、10年後に為替レートが70円を上回る水準だと保有期間利回りはプラスになり、130円になれば年6%(クーポン3%+年率為替利益3%)の利回りになります。(債券価格の変化、利息の再投資及び税金は考慮していません。)

別の例でみますと、クーポン6%で、投資期間10年、為替変動リスクが±25%であれば、
10年間に得られる利息合計60%
10年後に68%の可能性に収まる為替変動範囲=±25%×√10=±79%

つまり、受け取る利息合計60(為替による損益分岐点は40円)に対し、推計される為替の68%の可能性範囲は、21円~179円であり、為替損失を被る可能性が高いことがわかります。(投資時の為替レートを100円とする)

10年間の投資を考えるのであれば、「利回り3%、為替変動リスクが年±10%」のほうが、「利回り6%、為替変動リスク年±25%」よりも、勝つ可能性が高い戦略といえます。(ただし、大勝ちを目指すのであれば、「利回り6%、為替変動リスク年±25%」が選択肢になるかもしれません。)

外国債券に投資する場合には、利回り、投資期間、投資通貨、為替変動リスクを慎重に検討し、投資終了時に損失の出る可能性が低い組み合わせを選んではいかがでしょうか。
(これは、机上の計算です。個人の責任で、投資判断をお願いします。)

佐々木幸喜(IFA佐々木へのお問い合わせは以下のフォームからお願い致します。)
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