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元ファンドマネジャー【IFA佐々木のコラム⑲】
配当(株式)にあって、利払い(債券)に無いものをご存知ですか?

COLUMN
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資産形成・豆知識19.
(資産運用をこれから始める時に知っておくべきこと)

配当(株式)にあって、利払い(債券)に無いものをご存知ですか?

正解は「配当落ち、権利落ち」による「価格落ち」です。

株式市場が静かであっても、特定の銘柄だけ月末に価格が下落していることがあります。これは、決算期末(月末)に配当受取の権利が株主に付与されるため、配当相当分程度、株価が下落したことによります。(配当落ち。配当が企業から株主に支払われるため(資産の外部流出)、企業価値は低下します。他のマイナス要因により、株価下落が加速されることもあり、また、他のプラス要因で株価下落が起きない場合もあります。)

それに対して、債券は、利払い(通常、半年毎)があっても価格は下落しません。(金融政策等による金利変化に伴う価格の変化を除きます。)

投資家への金銭の支払いという点では同じですが、株式と債券では、その性質、決定方法、プロセスが異なるため「価格落ち」の有無が発生します。その違いを解説します。

【株式の配当】
配当は、株主への企業収益金の分配です。そのプロセスは下記の通りです。
・決算期末に配当受取の権利が株主(決算日に株式を保有している人)に付与される
・企業は、決算後45日以内に決算短信を発表。この時に、配当案も発表。
・株主総会に配当案を付議し、採決
・株主総会可決後、株主に配当支払い(一般的には、決算期末から60~90日後になります。)

【債券の利息】
利息は、債券保有者(お金を貸してくれた投資家)に支払われます。また、債券売買時には、保有期間の利息の授受が行われます(債券売買は、債券価格に未収利息(accrued interest)を加えた金額で取引されます。)
・債券発行時に利払い日及び利率を決定
・債券償還日前の債券売買は、債券価格に売却者の債券保有期間に応じた利息を加え取引(直前に配当が支払われた日を起点に計算。)。
・利払い日に債券を保有している投資家が利息を受領

このように株式の配当は、「権利確定」→「分配金案」→「株主総会での付議」→「分配金の決定」→「分配金の支払い」となっており、権利確定から分配金の支払いまで、2~3か月かかります。

それに対し、債券の利率は予め決まっていることから、償還までの間の売買の際には債券価格に利息を加えて取引されます。債券の利息は利払い日に、その時の債券保有者に支払われます。

分配金は企業の決算が確定しないと決定できないのに対し、債券は発行時に利率が固定されているため、このような違いが生まれます。

このようなことから、株式においては、決算期末が近くなると、“配当や株主優待”の権利を獲得するために株式の買い意欲が強くなることがあります。そして、決算期末後には、「配当や株主優待落ち」分だけ企業価値は低下します。決算期末後の株式は、分配金等による株価下落を考慮の上、投資判断をする必要があります。

佐々木幸喜(IFA佐々木へのお問い合わせは以下のフォームからお願い致します。)
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