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IFAが実際に行う資産運用の公開レポートメルマガ 【ペレグリン・ポートフォリオ・ウォッチ】2020年5月号

COLUMN
アイキャッチ5月号
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Peregrine Portforio Watch

2020年5月号                       Vol.5

コロナショック後の投資戦略をどう考えるか

【4月の投資環境】マーケット・コメント

(株式)

新型コロナの感染拡大防止のため各国でロックダウン(都市封鎖)、外出禁止や移動制限等の措置が取られ、世界の経済活動は停滞が続きました。しかし、欧米の金融緩和、財政支出の拡大やFRBによる社債の無制限購入表明等から金融市場は3月に比べ落ち着きを取り戻しました。失業者の急増や景気後退観測がでているものの、財政支出の拡大等から、早期の景気回復期待が高まり、世界株式市場は3月末から反発しました。欧米諸国の中には経済活動を徐々に再開しているところがあるものの、実体経済や新型コロナの終息時期は不透明であることから、回復期待、実体経済データ及び感染データにより株価が変動しやすい状態は当分続くと見込まれます。なお、回復期待で上昇している株価と企業業績が見合った水準にあるのか、今後の企業業績を注視する必要があると思われます(新型コロナの影響で、決算発表を延期する企業が続出しております。)。しかし、景気はいずれ回復すると見込まれていることから、株式購入タイミングを探る動きが、今後、随所に出てくる可能性があると考えられます。ただし、経済活動の停滞に伴う石油需要急減による石油価格の下落が、石油産出国の財政を悪化させる波乱要因となり、世界株価に悪影響を及ぼす可能性があることには注意が必要と思われます。

 

(債券)

財政支出の拡大による国債増発が債券金利を上昇させると懸念されるものの、各国政府が緩和的な金融政策及び量的緩和(中央銀行による国債の無制限購入等)の継続を表明していることから金利は安定的に低位で推移しました。

■主な投資行動とポートフォリオの状況

4月末の当ポートフォリオの資産配分は、キャッシュ68.9%、米国株式20.8%、コモディティのゴールドが5.2%で、基準価額は10,118円(3月末比プラス402円)でした。

 

世界の金融市場は3月下旬を一旦底として、4月は月間を通して戻り基調となり、米国株式指数は概ね下落幅の半分を回復する水準となりました。このような動きの中で、当ポートフォリオはコロナショックで急激に落ち込む実体経済の見通しを慎重に考え、日本株式と米国株式の一部をキャッシュ化し、ポートフォリオ全体に占めるキャッシュ比率を高めました。

 

ドル安円高傾向や日本企業の業績悪化を念頭に、4月10日辺りに日経平均株価が19,500円を回復したタイミングで、ポートフォリオ対比約5%保有していた日経平均株価連動型インデックスファンドを売却しました。また、4月20日頃にはNYダウが24,000ドルを回復してきており、今後ポートフォリオ内での米国株式への投資はナスダック100インデックスファンドに比重を置くべく、保有していたS&P500指数連動型インデックスファンドの保有比率を約15%から5%へ落としました。

 

当ポートフォリオでは、4月後半から5月にかけて本格化する厳しい決算発表や、悪化が見込まれる経済指標の発表をきっかけに、再び市場が不安定化する可能性を警戒してきましたが、結果的には市場は将来的な回復局面を先取りする形で落ち着きを取り戻す動きとなっています。ただ、この戻り局面が超金融緩和に支えられた不安定なものであるとの見方もできるため、業績面から見ての割高感への警戒は解かず、米国株式を中心に下値を丁寧に狙っていくスタンスを継続します。

■ポートフォリオの基準価格推移(2020年1月~2020年4月30日)

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■2020年3月31日時点のアセットアロケーション

 

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■組入れ資産の状況

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■今後の方針と見通し

世界の金融市場では、経済指標の現実と、株価の動きとの乖離が広がっています。過去最悪の経済指標も出る中で、特に先進国では株価の戻りが顕著ですが、どうしてこのような景気悪化でも株高となるのでしょうか。

 

中央銀行の尋常ではない金融緩和政策もあって企業の信用不安も和らぎ、経済再開を見据えて、市場は景気の底がこの4月~6月と見ているからでしょう。ただ、動きの速い投資マネーに支えられた戻り局面では、感染の第2波が起これば再び不安心理が高まり、市場は動揺しかねないことも忘れてはなりません。

 

前月号では、先行きの見通しが立たない中で当面は株式市場では売り圧力も強く、値幅の大きい不安定な動きが継続しそうですとお伝えしましたが、予想に反して4月は緊急モードから平常モードへと落ち着きを取り戻す展開となりました。それを牽引したのがアマゾンやアップルといった超大型成長企業を有する米ハイテク銘柄中心で構成される米ナスダック総合指数です。同時に、欧州株式指数や全世界株指数もしっかり上昇してきました。

 

しかし経済指標ではサービス業を中心に悪化が顕著です。国際通貨基金(IMF)は今年の世界経済をマイナス3%成長と先月に公表しましたが、さらに下振れする可能性を示唆しています。また、今後1年で稼ぐ利益を表す1株当たりの利益(EPS)も下落し続けています。株価は半年先を織り込むと言われることがあり、急激に落ち込む実体経済よりも、その先を見れば外部要因による落ち込みは短期間で解消される、との期待感が今の市場を支えていると説明されます。

 

当社は、現在の金融市場が、尋常でない金融緩和政策に支えられ、米FRBが格付けが低くなった企業の社債の買取まで踏み込んだことで企業の信用不安は劇的に改善し、実際の経済情勢よりも経済の再開状況を重視して流れ込む投資マネーに警戒しています。実際、この戻り局面を牽引しているのはアマゾンなど少数の銘柄に過ぎないという見方もできます。株価がEPSの何倍まで買われているか、割高感を示すといわれるPER(株価収益率)は、現在1~2月の高値時を大幅に上回る水準となり、業績の回復無き株価の回復という状況であり、割高感は少なからず無視できないと思われます。この状況は今年の2月までの株高と似ているとも考えられ、再び市場が何かのきっかけで大きく不安定化する可能性は忘れてはならないと思われます。

 

当ポートフォリオはかなりリスク性資産の配分を落とした状態ですが、すぐに現金化できることを念頭にポートフォリオのリスク性資産の配分を高めていくタイミングを見ていく方針です。

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