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【第6回】外貨資産は必要でしょうか

COLUMN
外貨

外貨資産は必要でしょうか

ご存知の通り、銀行をはじめ、証券会社や保険会社でも外貨商品を保有することをお勧めしています。しかし多くの場合は商品をお勧めすることが第一目的で、どういった考え方で資産の何割くらいを外貨で保有したらよいか、という前提のお話は必ずしも十分でないのではないでしょうか。

今回は、金融資産の中でわたしたちはどれくらい外貨資産を保有するのが良いのかを考えてみたいと思います。

そもそも投資信託や外貨建て保険といった金融商品を保有する前に、外貨を保有する目的は何でしょうか。資産運用という観点からは、低金利の円に対して高金利での運用が可能になることや、円安になった場合に円換算での資産額が増えるといった経済効果が期待できます。しかし、円高になった場合は評価損が発生してしまいます。

外貨運用では円高はリスクと捉えられがちですが、評価損が出ている状態でも株式や債券のように換金する必要はなく、通貨としての価値があるため保有し続けることは可能です。米ドルなどの外貨資産を保有している場合は、円高で損をしたというよりも、円高のメリットを受けそこなったと考える方が実情に即していると言えるでしょう。

円高になると、米ドルなどの外貨に対して円資産は価値が上昇します。円からよりたくさんの外貨に換えることができます。日本の企業は原材料やエネルギーなど多くを輸入しているので、コスト減少となり日常品の物価も低下します。円の購買力が上昇した結果です。また、わたしたちの収入も、金額が同じであっても諸外国から見れば実質的な価値は上昇していることになります。円高の時は安く海外旅行に行けることを考えると一番分かりやすいです。

一方円安になると、既に保有している外貨資産の評価額は上昇し、外貨収入を持つ人にもメリットがあります。日本の輸出企業が海外で得た外貨を円に戻す金額が増え、輸出企業の業績も好調となり競争力が高まります。すると輸出製品を作る製造業だけでなく、原材料を提供する会社や関連する会社の取引も増え、景気が良くなっていきます。

どちらの立場でもそれぞれにメリットとデメリットがあります。しかし、将来のある時点で円高と円安どちらに進んでいるかは分かりません。将来に備える私たちの資産運用という点で見た場合、一般的にはわたしたちは外貨資産をそれほど保有していないケースも多いため、外貨資産を持たないまま円安が進行した場合のデメリットを考えることも重要です。

日本には、人口が減少していくリスクや、政府の財政状況の悪化から国の借金が増加し続けるリスクがあります。将来、労働力が減少して企業の経済活動が停滞すると、収入も減少して景気は悪化してしまいます。一方で日本の借金を減らすことはさらに難しくなり、日本全体が弱くなってしまいます。そうなると海外から見た円の価値は減少するため、円を保有する魅力が失せ、円を売る圧力が強くなることから円安が進行していく可能性があります。

円安が進行した状況では日常品の物価が上昇してしまいます。通貨危機とまでいかなくても日本全体が弱体化することでわたしたちの生活レベルの維持が難しくなっていくかもしれません。

円安が進行した場合に備える手軽な保険は、外貨資産を保有することです。将来も日本で生活するわたしたちの資産は円が基本ですので、日本の将来に全く不安が無く、100%信頼がおける場合は別として、その不安の度合いだけ米ドルを中心とした外貨資産を保有することを検討しても良いでしょう。参考までに、日本の公的年金の運用資産では、基本の資産構成割合として、約4割を外貨資産に充てています。

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