【第8回】噂で買って事実で売る
COLUMN
噂で買って事実で売る
期待されていた好決算が発表されたにもかかわらず株価が急落した、不安視されていた業績の下方修正が発表された途端に株価が反発した。このような局面に出くわしたことは一度や二度ではないのではないでしょうか。
市場では常識的な感覚ではどうも理解できないような動きに戸惑うことがよくあります。こういった場面で当てはまるのが、「Buy the rumor, sell the fact」噂で買って事実で売るという、比較的ポピュラーな相場の格言です。
買い材料の噂が出た段階で買っておき、事実として発表された段階では売った方が良いという意味です。相場は事実よりも噂や思惑で先に先に動くもので、事実として公表された段階ではすでに株価には織り込み済みとなっている場合が多い、ということです。逆に、先行きが悪い、噂が悪い内容の場合は逆の動きとなります。
こういった局面に遭遇した時、「材料出尽くし」という言葉でよく説明されますが、そこが高値または安値となってその後株価が反転することがあります。
ではどうしてこういった動きがよく起こるのでしょうか。それは、「常に先を行け」とか、「人の行く 裏に道あり 花の山」といった言葉があるように、ある事実が公表されて注目される前に多くの人に買われたり売られたりしているからです。
先に買っている人や売っている人が多ければ多いほど株価の動きにはエネルギーが蓄えられます。相場は期待で動いています。その期待が事実の発表によって実現または消滅した時に、それまで買っていた人や売っていた人が次の行動に移るために反対売買に転じることで、結果として株価は反転します。期待度が高く、蓄えられたエネルギーが大きいほど、その後の動きも大きいものとなるのです。