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【第10回】日本株式市場の主役「外国人投資家」とは誰なのか

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日本株式市場の主役「外国人投資家」とは誰なのか

新聞やニュースを見ていると、度々「外国人投資家が日本株を○〇〇〇億円買い越した」「今月は売り越しに転じた」といった言葉を目にします。今や日本の株式市場の売買代金の7割超を占めるこの外国人投資家の動きが、投資家の強気・弱気といった心理面に大きな影響を与えています。外国人投資家の動向は、株価の方向性にも作用する重要な材料と言えるでしょう。

取引に参加する投資家には様々なカテゴリーがあります。主なものは、「個人投資家」、「法人投資家」、「海外投資家」、「証券会社」となります。このうち、「法人投資家」は「投資信託」、「事業法人」、「金融機関」、「その他法人等」に分けられます。細かいですが、「金融機関」も「生保・損保」、「都銀・地銀等」、「信託銀行」、「その他の金融機関」と細分化されます。

取引の金額としては、おおよそ15%が「個人投資家」、8%ほどが「法人投資家」、そして残り約75%強が「海外投資家」なのです。「証券会社」は1%にも満たない少ないものとなっています。外国人投資家の存在感は圧倒的です。では、このデータはどこで確認したらよいのでしょうか。

実は、東京証券取引所のホームページで発表されている「投資部門別売買状況」にて確認することができます。データは毎週木曜日の午後3時に更新されています。

証券会社などは売買注文を執行すると、東証に報告します。その際に、どのような属性からの注文なのかを申告します。それが東証で集計され、投資部門別売買状況として公表されるのです。

では、この取引金額で約75%強という圧倒的な存在感を放つ「海外投資家」についてですが、東証はおおまかに「日本国外の住所から出された注文」と定義しています。つまり、どこの国の外国人投資家なのか、ということではなく、注文を出す拠点(の住所)が日本国外かどうか、という見方なのです。

この定義に照らして考えると、「海外投資家」=「外国人の投資家」とは限らないことになります。なぜなら、海外の拠点を経由して出された注文が「海外投資家」となるならば、日本人投資家が、海外に拠点がある外国籍ファンドに投資をした資金も「海外投資家」になります。海外に拠点を置いて日本人が運用するファンドの運用資金も統計上は「海外投資家」となりますし、日本の機関投資家の資金も海外の投資顧問会社に運用を委託していますがこれも同様です。逆に外国の運用会社であっても日本法人で運用している資金は「海外投資家」とはなりません。

最近では超高速取引やコンピューターによるプログラム売買も増えてきていますが、これらは海外に拠点を持つケースが多く、日本の投資マネーが「海外投資家」に統計上分類されて資金が出入りしているケースも増えてきています。このように、「海外投資家」には非常に多様な資金が含まれていることが分かります。

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