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【第13回】通貨安はなぜ起きるのか?

COLUMN
為替

「円高・ドル安」などの言葉に聞くように、通貨の価値はなぜ変わってしまうのでしょうか。
通貨価値の変動には様々な要因がありますが、なかでも「金利」が与える影響は大きく、一般的に高金利だと通貨の価値も高くなり、逆に低金利だと安くなりやすい傾向にあります。

そしてこの金利が原因で動く通貨の価値には、投資家の動きが影響してきます。
投資家にとっては、同じ額のお金であれば、低金利の通貨で持つより、高金利の通貨で持つ方がお金は増えます。低金利通貨を売って、高金利通貨を買おうとする人が増えれば、需要と供給のバランスから、高金利通貨のほうが高くなるというわけです。

では、金利以外の要因は何があるでしょうか。
まず一つは「インフレ率」です。物価が上がるということはそれだけ通貨の価値が下がっているという見方ができます。そのため通常は、高インフレ率の国の通貨は価値が低いとみなされ安くなります。

もう一つは「経常収支」です。経常収支は自国と外国との間のモノやサービスの取引状況を表す指標であり、支出が収入よりも多いと経常赤字となり通貨安に、逆に収入が支出よりも多い経常黒字なら通貨高になりやすいです。

これらの要因により通貨の価値は変動しますが、実際に自国の通貨が通貨安となった場合、どんな影響が出るのでしょうか。
主なところでは、海外貿易への影響が挙げられます。一般的に通貨安になれば、海外から買うものの値段は上がります。一方で自国から海外へ売る、つまり輸出するものの値段は相手国にとっては安くなるため、輸出しやすくなります。

このように、メリットとデメリットの両方がありますが、急激な通貨安は物価の急上昇にもつながってしまいます。そうなると国民生活に混乱を招きかねないため、急激な通貨安には歯止めをかけようと国が動くことが一般的です。

日本は世界的にみると低金利で経常黒字もあるため、短期的に急激な通貨安に見舞われる可能性は高くはないですが、少子高齢化や人口減が進んでいくことが想定される将来、全くないとは言い切れません。
通貨の価値はいわば、自国の経済力に対し、世界から渡される通信簿のようなものなのです。

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