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元ファンドマネジャー【IFA佐々木のコラム⑨】
日本型雇用システムの終焉・・・
さらなる自助努力が求められる時代に

COLUMN
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資産形成・豆知識9.

日本型雇用システムの終焉・・・
さらなる自助努力が求められる時代に。

経団連は2020年1月21日に「2020年版 経営労働政策特別委員会報告」を発表し、その中で「転換期を迎えている日本型雇用システム」について言及しました。

昨年には、経団連加盟の有力企業社長から同様の発言がなされておりましたが、経団連から正式に表明されたことにより、多くの企業が雇用システムの速やかな見直しに動くと思われます(既に見直しを終えている企業もありますが、多くの伝統的企業の本格的な見直しはこれからのように思われます)。

日本型雇用システムの中心は、「新卒一括採用」「終身雇用」「年功序列賃金」ですが、これからは、「通年採用」「リストラの適宜実行」「能力に応じた賃金」への転換が進むと考えられています。

日本型雇用システムは「家族主義」といわれるように、会社が従業員の生活を手厚くサポートすることにあります。新卒で採用した従業員を教育し、定年まで従業員の雇用を確保し、従業員の家族が増える(成長する)に従い給与を増やす、ことが当然であると考えられてきました。

しかしながら、海外企業との競争激化、業務の複雑化及び新技術開発に伴う雇用のミスマッチ等により、日本型雇用システムの維持が難しくなりつつあります。日本型雇用システムの終焉により何が変わるのか、そして、私たち個人は何をすべきか考えてみましょう。

(1)「新卒一括採用」の終焉
就社(会社で働く能力)から、就職(特定分野で働く能力)に変わります。就社では、会社が必要とする能力を高めるためのプログラムを提供していますが、今後、会社は自前で社員を育成するのではなく、有能な人材を通年で採用すると見込まれています。すなわち、これからは自己研鑽で個々の能力を高める必要があると思われます。

(2)「終身雇用」の終焉
終身雇用を前提に、多くの企業は確定給付年金(退職後に、企業が予め定めた額を年金として従業員に給付する制度。DBといわれている制度。)でしたが、中途採用や転職が増えてきたことにより多くの企業は、確定給付年金から持ち運びできる確定拠出年金(企業は従業員の年金掛金を支払い、従業員はその掛金を、自分で投資信託に投資し運用する制度。DCといわれている制度。)への変更が増えています。確定拠出年金は、各自が投資先を選ぶため、運用成果は各自異なります。その運用成果は自己責任になりますので、良好な成績を得るために運用知識等を高める必要があります。

(3)「年功序列賃金」の終焉
新分野で働ける能力のある若手従業員、あるいは、雇用のミスマッチを解消するための中途採用者の給与は相対的に上昇すると見込まれるものの、シニア層(一部の特殊技能のある人を除く)の給与は今までに比べ上昇し難くなると考えられています。このため、ライフプラン(家族が増える(成長する)につれ支出は増えると見込まれます。)を立て、事前の備えを施すことが必要になります。教育資金、住宅購入資金及び老後資金は、給与上昇を期待するのではなく、中長期的な資産形成で賄うことが望まれます。

企業が日本型雇用システムの転換を進めるということは、「家族主義」からの転換を意味します。今まで会社に依存していたことの一部(年金運用や働き方等)を、自分で考え意思決定しなければいけない時代(自己責任の時代)になったといえるかもしれません。

 

佐々木幸喜(IFA佐々木へのお問い合わせは以下のフォームからお願い致します。)https://peregrine.co.jp/contact/

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