お電話でのお問い合わせはコチラ 0120-265-111 平日9:00〜17:00

NEWS RELEASEニュースリリース

ペレグリン・ポートフォリオ・ウォッチ2023年11月号

MAILMAGAZINE
11月号

Peregrine Portfolio Watch
2023年11
月号 Vol.41

債券投資の期待が高まる

【先月の投資環境】マーケット・コメント

10月の世界株式は、欧米の長期金利の上昇などから下落して始まったものの、米国で複数の地区連銀総裁から追加利上げに否定的な見解が示され、長期金利が一時的に低下したほか、中国での景気刺激策への期待などもあり、中旬にかけて上昇傾向となりました。しかし、下旬に入ると米国の対中半導体輸出規制の強化が嫌気されたほか、米国で金融引き締めの長期化懸念などから10年国債利回りが急上昇し、約16年ぶりに一時5%台となったことなどを受け、ハイテク株を中心に下落基調となりました。加えて中東情勢の緊迫化などを受け、投資家のリスク回避の動きが強まったことも株価の重石となりました。

月末にかけて長期金利の上昇が落ち着きを見せると株式は急反発の様相を見せ、月間では上下大きく動いたものの月末月初ではあまり変わらない水準で終えました。特に大きく動いたのが日本株でした。日経平均株価は10月に998円(約3%)下落し、月間の下げ幅は今年最大で、2014年1~4月以来9年半ぶりに4カ月連続の下げとなりました。また、円相場も1ドル=150円台となり、円安基調が継続しています。要因は様々ですが、根底には構造的な円安要因が指摘されています。

日銀は10月末の金融政策決定会合で長短金利操作(イールドカーブ・コントロール、YCC)の再修正に踏み切りましたが、市場が想定した内容からは遠く、金融政策の正常化にはやはり時間がかかるだろうと認識されたようです。この時点で日本の新発10年物国債利回りで算出した日米の金利差は依然として4%程度あり、目先はドルに対して円を売りやすい状況は続いていると言えます。さらに政府などによる円買い介入への警戒感が薄れていることもあるでしょう。1ドル=150円のラインが意識されてきた中で、財務省は10月31日に、政府・日銀による9月28日~10月27日の為替介入実績がゼロだったと発表したからです。

 

すると次なる節目は昨年に政府・日銀が円買い介入に踏み切った1ドル=151円90銭台となります。外国為替市場では一定の存在感で知られる日本の個人投資家(いわゆるFX投資家)にとっても、151円台の他に大きな節目が存在しないと言われており、外為市場全体でも存在感を高める日本の個人の動向次第で為替変動が大きくなる可能性もあります。

■ポートフォリオの状況について

先月の当ポートフォリオは、株式市場と長期金利の上下の影響を受け、基準価額は安値12,369円、高値12,563円と変動しましたが、月間では-0.5%の小幅な下落、全体的には7月以降12,500円前後の横ばいの動きが継続している形となりました。内訳としましては、保有のゴールド資産が9%高と上昇を牽引しましたが、その他の株式と債券はすべて小幅下落し、全体を抑えました。

ポートフォリオのアクションでは、これまで多くを占めていましたキャッシュをリスク資産に振り向けていく方針を前提に、リバランスを少しずつ行いました。具体的には配分を落としていた株式の比率を高め、債券部分は内訳の変更を行い、その過程で少しずつキャッシュ比率を落としました。その結果、9月以降で日本株式は8%前半から8%後半へ、米国株式は13%から15.5%へ上昇。債券は為替ヘッジ付きの先進国国債インデックスとハイブリッド債への投資比率をそれぞれ減らし、その分を社債への投資に振り向けました。結果、キャッシュの比率は42%ほどから35%ほどへ低下しました。

今後につきましてはキャッシュ比率を30%程度まで引き下げて、日米株式と米国株式と社債ファンドの追加組み入れを検討していく方針です。

■今後とポートフォリオについて

想定以上に長引くインフレの高止まりに警戒していた金融市場の雰囲気がようやく変わりつつあるようです。11月に入ってくると、発表される10月分の米消費者物価指数(CPI)の伸びが事前予想を下回るなど、経済指標にインフレ鈍化の兆しが見え始めています。これによって、長期金利の上昇と共に年内の追加利上げの可能性の議論は縮小し、追加利上げ確率予想ほぼゼロにまで低下しました。

9月から上昇基調を強めていた長期金利の指標になる米10年債利回りは、11月に入って上昇基調前の水準にまで1カ月半ぶりに低下、米金利低下はドル売りを誘い、33年ぶりの安値更新をうかがっていた対ドルの円相場も急伸して一旦天井を付けた形です。10月の米長期金利の上昇は、米連邦準備理事会(FRB)による追加利上げ一回分の経済効果になると議論されましたが、それも織り込んだ形で追加利上げの可能性が消え、継続性に確信はないものの米株式市場でも急反発の動きが鮮明です。

足元の動きが大きくなった背景として、ピクテのストラテジストは、「米CPIや米政府予算問題を手掛かりに株価の下落に賭けていた売り方の買戻し」を指摘しています。先行きの懸念が長期化していただけに、インフレ率に鈍化の兆しが見えたことは、FRBが12月以降に再び利上げするとの予想を一掃するインパクトがあったようです。これによって市場ははたして利上げ終結を見込むことになるのでしょうか。

足元の市場の焦点は24年の利下げへと移りつつあるようですが、まず政策金利を決定する米連邦公開市場委員会(FOMC)参加者は、9月会合時点では2024年中の利下げ幅を0.5%にとどめ、高い政策金利水準を長く維持することを中心シナリオと据えました。一方で、米金利先物市場の動きからの政策金利予想(いわゆる「フェドウォッチ」)では、本稿執筆時点(11月14日)で24年末までに計1%以上の利下げを実施する予想が7割近くを占めているようです。

市場参加者の間でも利下げ予測の時期は見方が分かれています。米モルガン・スタンレーはインフレ鈍化によって24年6月に利下げ開始と予測。同年の利下げ幅は計1%の予想です。逆に米ゴールドマン・サックスは利下げ開始時期を24年10月~12月期と予測。同年の利下げ幅は0.25%にとどまるとみています。とはいえ、金融経済のように不確なものを見る際には、過剰な楽観は避けておきたいものです。実際、米国ではなお賃金・物価の上昇圧力は根強く残っています。FRBが2%のインフレ目標を達成するためには、労働市場の減速が必要と言われています。物価の伸びが再加速する展開にFRBのパウエル議長も講演で警戒感を示しました。

足元で進む長期金利の低下や株高傾向は、家計や企業の資金調達にはプラス効果があり、金融環境を緩める(金融緩和)効果もあります。この緩みをむやみに助長しないよう、FRBは金融引き締めスタンスを重視するタカ派姿勢を続ける可能性が高そうです。市場が期待する、「米経済の急減速を回避しつつ、インフレも鎮まる経済の軟着陸シナリオ」への期待は確実に高まっていますが、結果が出るのはまだ先です。

しかしながら、同時に金融環境に潮目の変化が起きつつあるのではないかという視点も併せ持っておきたいところです。今年の夏以降、米国株は長期金利の上昇が売り要因となって高金利が逆風となる銘柄の下げが目立っていました。ところが、10月の雇用統計で労働市場の軟化が確認されるなどインフレ圧力の緩和が見えると、米国の物価上昇との戦いは大方終わったと言わんばかりに買戻しが顕著となりました。金融環境の変化は債券市場にも大きな影響が出ています。これまでの市場金利の上昇は、主に保有債券の運用悪化や資金調達コストの拡大をもたらします。債券の変動率(ボラティリティ)が高いゆえに債券投資に積極的になれず、保有分の価値下落にもなります。それがここにきてようやく世界の投資家が債券に対する強気な見方を増やしているようです。

米バンク・オブ・アメリカが発表した直近の機関投資家調査によると、FRBの利下げが終了したと考える割合は75%を超え、債券投資に「強気」と回答した割合から「弱気」と回答した割合を差し引いた値は2009年3月以来の高水準となったとのことです。利上げ終了後の世界をにらんで市場参加者は金利低下(債券価格は上昇)への備えを着々と進めているのでしょうか。

当ポートフォリオではすでに先進国債券(海外債券)をオーバーウェイトに引き上げていますが、バンク・オブ・アメリカの調査でも来年最も好成績をあげる資産として、54%の投資家が「債券」をあげ、株式(29%)を大きく上回ったそうです。そのような機関投資家の間でいまやコンセンサスとなっている、短期金利の低下とインフレ率の鈍化は、今後想定通りになるのでしょうか。当ポートフォリオでは方向性には賛成するもののタイミングやシナリオの不透明性にも配慮し、投資配分と投資資産の選別に注意を払ってまいります。

■ディスクレーマー(ご留意事項等)

本資料は、投資判断の参考となる情報提供のみを目的として、ペレグリン・ウェルス・サービシズ株式会社(以下、当社)が独自に作成したものです。特定の銘柄について投資勧誘を目的にしたものではありません。本資料で言及しました銘柄や投資アイデアは、投資に関するご経験や知識、財産の状況及び投資目的が異なるすべてのお客様に一律適合するとは限りません。投資に関する最終決定は投資家ご自身の判断と責任でなされるようお願いします。本資料は、信頼できると判断した情報源からの情報に基づいて作成したものですが、正確性及び完全性を保証するものではありません。万一、本資料に基づいてお客様が損害を被ったとしても、当社および情報発信元は一切その責任を負うものではありません。また、本資料は著作権によって保護されており、無断で転用、複製または販売等を行うことは固く禁じます。

【資料内の実績データに関して】

資料内のデータは過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません。

 

 

 

ニュース一覧に戻る