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NEWS RELEASEニュースリリース

ペレグリン・ポートフォリオ・ウォッチ2024年1月号

MAILMAGAZINE
2024年1月

Peregrine Portfolio Watch
2024年1月号 Vol.42

今年の経済予測は複雑、しかも「トランプ再選?」                   

【先月の振り返り】マーケット・コメント

2023年は、急速な利上げが進む中で、その先の米欧同時利下げの予測動向が投資マネーを大きく翻弄した一年だったと言えそうです。世界の株式時価総額は米国を牽引役に、21年11月につけたピーク(約120兆ドル)の9割水準まで回復しました。粘着性の高いインフレによる景気減速懸念と闘いながら、期待先行型の世界株高となったわけですが、市場は想定外に強かった米経済と、ようやくみえてきたインフレの減速を受けて、24年は緩やかな景気拡大が続く適温経済の実現を見込んでいます。

景気が過熱も失速もせずに適度な状況で拡大することは、「ゴルディロックス経済」と呼ばれています。インフレ率が低位安定する局面では中央銀行が緩和的な金融政策を長く取りやすく、緩やかな景気拡大が続きやすいとされます。金融市場の変動率(ボラティリティ)は下がり、投資家が株式などリスク性資産に投資しやすい環境と言われます。由来は英国の童話「3びきのくま」に出てくる少女ゴルディロックスだそうですが、森でクマの家を見つけた少女が、熱すぎず冷たすぎもしないスープを選んだことから、適温経済はゴルディロックス経済と呼ばれています。

足元では米経済指標が緩やかに落ち着くなか、米連邦準備理事会(FRB)が利下げへの転換姿勢を示しており、景気が程よい状態にソフトランディング(軟着陸)するとの期待が高まってきています。この言葉自体は新しいものではなく、リーマン・ショック前年の2007年や、トランプ政権下で米中対立が激化し世界的な株安につながった18年以前にも盛んに使われていました。ちなみにクマは相場用語で「弱気」を指します。

さて、株式市場に目を向けますと、米株式市場での主要株価指数であるダウ工業株30種平均が前回に最高値を記録したのは、2022年1月4日(終値で3万6799ドル)で、同年の3月にFRBが利上げを開始する直前でした。今回の高値更新は、2年近く続いた「引き締め相場」にようやく一区切りをつけた形です。利上げ局面の先にある利下げを市場が早くも先取りしようとする中で、「追加利上げの可能性を排除することはしたくない」と、パウエルFRB議長は指摘しつつ、「利上げサイクルのピークに今はいるか、それに近い状態にある」との認識を示しました。

米金利先物の値動きから金融政策を予想する「フェドウォッチ」によりますと、市場は今年の3月ごろの利下げ開始で、通年で6回程度の利下げを織り込んでいます。そのような中、昨年の前半はアップルやマイクロソフト、エヌビデアなど巨大テクノロジー企業7銘柄が相場全体を牽引し、後半はITや不動産といった金利敏感セクターに加えて、機械やアパレルなど景気敏感セクターの上昇も目立ち、幅広い業種にマネーが向かう展開となりました。

問題は、高値の維持にはハードルも多いことです。FRBが昨年末に示した政策金利の見通しでは、24年中の利下げ回数は3回です。民間エコノミストの予想もほぼ同様で、市場の「年6回利下げ」期待は楽観的過ぎるとの見方もあります。

そもそも不況を回避できるシナリオはまだ実現したというには早すぎます。これまでは好調な個人消費という支えがありましたが、金利が上昇するなかで個人の負債率も上昇してきているため、好調な消費が今後も続くとは確定的には言えません。利下げ観測の高まり自体は相場のプラスになるものの、実施時期が遅れれば景気が腰折れするリスクもあります。インフレ率が依然高い水準にある中で、利下げを急げば物価高が再燃する恐れもあります。

楽観覆う世界株高ですが、米消費に失速懸念もあり、適温に落ち着いていくかどうか、今しばらく慎重なスタンスが肝要と思われます。

■ポートフォリオの状況について

2023年12月は、米金利の落ち着きと円高への動きがみられ、日米を含む世界的な株高傾向となり堅調な展開でした。当ポートフォリオは、11月末に設定来の最高値を付けました。12月には原油などのコモディティ価格の下落もあり、途中で1%弱下落する局面もありましたが、年末に向けて回復基調となり、全体的には小幅な動きでほぼ変わらずで2024年を迎えました。

ポートフォリオのアクションとしましては、短期的に株価上昇の過熱感を意識して年末に少し日米株式を一部キャッシュ化しました。具体的には、日本株の投資比率が9%から6%へ、米国株が16.5%から10.7%に低下し、キャッシュ比率が34.4%から44.3%へ上昇しました。先に述べましたように、基本方針としては米景気の軟着陸予想を支持し、2024年は株式の比率をある程度高位に保つ予定ですが、過度な金利低下の楽観論が修正される局面や弱い経済指標が出ることで景気不安への高まる局面も警戒し、株価が高い状況では柔軟な対応を取ることとします。個別資産では、コモディティが下落し、債券と株式の上昇がこれをほぼ相殺した形です。

今後、市場の変動率(ボラティリティ)が増加する局面には警戒が必要ですが、これまでの通り日米株式と社債ファンドの追加組み入れを検討し、キャッシュ比率は30%程度まで引き下げていくタイミングをみてまいります。

■ポートフォリオの基準価格推移(2019年12月~2023年12月31日)

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■2023年12月31日時点のアセットアロケーション

■組入れ資産の状況

■今後とポートフォリオについて

2024年のマーケットをどうみるべきか、年末には金融大手の予想が出そろいました。主要となる米国景気の先行きをめぐっては予想が割れるなかで、堅調な企業業績を支えに株価は1割程度上昇するとして、「景気減速下の株高」を予想する声が中心です。一方、個人消費の減速懸念から株価下落を予想する声もあります。景気の行方が市場に与える影響をどう見るかも一様でなく、ここが難しい点です。例えばドイツ銀行は、米景気の減速が短く緩やかなものになるため、株価の下落は小幅で一時的なものにとどまり、年末にかけてS&P500種株価指数は5100まで上昇すると予想しています。背景として、労働市場の逼迫は企業の生産性改善の前兆で、潜在的な株価上昇余地があるとしています。またバンク・オブ・アメリカも景気の過熱も冷え込みもないいわゆるぬるま湯経済を予想し、24年末には5000に達するとしています。かたやゴールドマン・サックスは米経済の軟着陸を予想しつつ緩やかなペースで米景気の拡大を見込んでいますが、S&Pの目標株価は4700とやや弱気です。堅調な経済成長が市場の米連邦準備理事会(FRB)による利下げ期待を年後半まで遅らせるため、本格的な株価上昇は下半期以降だろうとしているためです。

対して弱気派の代表はJPモルガン・チェース。24年末S&P予想は4200と株価下落を見込んでおり、米国の家計が新型コロナウィルス禍でため込んだ現金資産が年前半にはほぼ枯渇するため消費の減速を警戒しています。モルガン・スタンレーも中長期的な業績見通しは明るいものの目先短期的には厳しいと指摘し、24年末のS&P予想は株価収益率(PER)の水準を根拠に4500としています。

また、今年は米大統領選挙がある「政治の年」でもあり、影響が見通しにくいこともあります。ゴールドマンは「大統領選の不透明感が投資家のリスクテイクを抑制する」と指摘、そして選挙後は結果にかかわらず不透明感が薄れるとして年後半は相場押上げに働くとの見方を示しています。このように、どの角度から見るかによって影響と成り行きの予測に幅が出ており、今年の予想の難しさを示しています。

では、予想が複雑で難しい背景は何なのでしょうか。フィナンシャルタイムズ紙のコラムを参考にすると、大きく理由は3つとあります。第1に、新型コロナウィルス禍とそれに対する政策によって、従来の経済モデルを使っての経済予測が非常に難しくなったことです。雇用や賃金など様々な主要指標は多くの地域で過去と異なる動きを見せているそうです。第2に、米中の分断や国内産業育成を目指す政策の強化で、各国の財政政策や貿易関係が様変わりしているため、とあります。第3には、金利変動の影響が企業や消費者にまだあまり及んでおらず、それには時間がかかり、この傾向が数年は続くと思われるためとあります。金利は現在も過去数十年に比べてはるかに高い水準にあり、24年にある程度引き下げられたとしても依然高い水準にとどまります。

振り返れば確かに08年の金融危機の際には、各国・地域が金融政策と財政政策の歩調を合わせました。しかし、コロナ禍ではどこも金融政策や財政政策をバラバラに展開してきたため、今、正確な政策立案をしようにも世界経済が格段に複雑さを増している、と考えられています。このため、かつては株や債券、不動産といった資産は多くの地域で同じような動きを示してきましたが、その状況は変わりつつあるのかもしれません。各国・地域の中央銀行が異なる決定を下すにつれ、どこかの地域で株価が上がっても別の地域では下がるといった資産価格の動向の違いが増していくのであれば、予測もさらに難しくなります。

今、投資家は間違いなく今年の利下げを期待していますが、利下げで株価は上がる、と単純にはいかないかもしれません。例えば利下げ前にもかかわらず、ナスダック総合株価指数は言うまでもなく、ダウ工業株30種平均やS&P500種株価指数も、多くの指標からみてかなり割高な水準にあるとされます。利上げにともなって企業のデフォルト(債務不履行)が増えるという予想もあまり当たらなかったようです。程度は別にして、今年金利が下がるにしても、それで景気が良くなるとか悪化するといった単純な構図にはならず、より複雑性が増す世界が定着するかもしれないとしたら、予想を当てようとするよりも、想定と対応の準備がより重要になるでしょう。

それにもしトランプ政権が再び誕生するとなると、どのような事態になるのでしょうか。今年はこの問題についても考えなければならないのです。

■ポートフォリオの戦略的配分について

■ディスクレーマー(ご留意事項等)

本資料は、投資判断の参考となる情報提供のみを目的として、ペレグリン・ウェルス・サービシズ株式会社(以下、当社)が独自に作成したものです。特定の銘柄について投資勧誘を目的にしたものではありません。本資料で言及しました銘柄や投資アイデアは、投資に関するご経験や知識、財産の状況及び投資目的が異なるすべてのお客様に一律に適合するとは限りません。投資に関する最終決定は投資家ご自身の判断と責任でなされるようお願いします。本資料は、信頼できると判断した情報源からの情報に基づいて作成したものですが、正確性及び完全性を保証するものではありません。万一、本資料に基づいてお客様が損害を被ったとしても、当社および情報発信元は一切その責任を負うものではありません。また、本資料は著作権によって保護されており、無断で転用、複製または販売等を行うことは固く禁じます。

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