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NEWS RELEASEニュースリリース

ペレグリン・ポートフォリオ・ウォッチ2024年5月号

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画像25 5月

2024年5月号 インフレ再燃が最も怖い  Vol.44

【2024年4月の振り返り】マーケット・コメント

4月の世界株式は、米国において、力強い経済指標や予想を上回る消費者物価指数の伸びや、米連邦準備制度理事会(FRB)高官らの発言などを受けて目先の利下げ観測が後退したほか、イラン・イスラエル間の軍事的な衝突を背景に投資家のリスク回避の動きが強まったことなどもあり、中旬にかけて一時的に大きく下落しました。下旬になると中東情勢への懸念が幾分和らいだほか、中国当局による景気刺激策への期待などから回復傾向となりました。

なお、外国為替市場では、円相場が一時1米ドル=160円台前半となり、約34年ぶりの円安・米ドル高水準をつけたことが記憶に強く残るところでしょう。米債券市場では長期金利が短中期の金利を下回る、いわゆる「逆イールド」状態が1年10カ月になろうとしています。インフレ圧力が根強く、高水準の政策金利が続いていることが背景にあります。この逆イールド状態は、景気後退と株安の予兆とされることが多いですが、一般的にはタイムラグがあり、今回は当てはまらないのではないかと楽観視する向きもあります。しかし金融引き締めの状態が長引いているため、潜在的なリスクも増している点は見逃せません。

たしかに高金利に対する米経済の耐性は高いようです。家計に余剰貯蓄があることで消費も強く、移民が労働力を供給しているほか、テクノロジーの普及による生産性向上も指摘されています。ただ、景気が底堅い分、インフレとの戦いも随分長引いています。FRBが重視する米個人消費支出物価指数は、3月発表分でFRBが目指す目標値との差はまだ大きく、FRBは簡単に利下げに踏み切れない状況です。パウエル議長は記者会見で、インフレ率が目標に収まるとの確信を強めるまで「想定よりも時間がかかりそうだ」と認めています。

それでも市場のメインシナリオは「ソフトランディング(軟着陸)」のままです。景気が底堅いままインフレが終息し、FRBが利下げに転じて逆イールドも解消される、という見通しです。とはいえ、利下げの時期はどんどん遅れています。逆イールド状態が戦後最長となったのは、楽観シナリオが実現しないためでもあります。投資家心理は利下げと景気見通しを巡って揺れ動いていますが、インフレと景気停滞が重なるスタグフレーションへの懸念もくすぶるため、念のため逆イールドのシグナル性は軽視しない方が良いでしょう。

■ポートフォリオの状況について

4月の当ポートフォリオは、中旬に基準価額の最高値13,593円から下旬に13,304円まで下落しましたが、4月末では月初からわずかにプラスとなりました。マーケットが一時的に動揺したのは、サマーズ米財務長官が発した、「次の政策変更は利下げでなく利上げになる可能性を真剣に考えるべきだ」という一言が決定的だったと思われます。

3月の消費者物価指数(CPI)が市場予想を上回り、インフレ鎮静化の道筋が見えにくくなると、年初には今年の米利下げ回数が5~6回と見込まれていたのに対して、利下げ回数の予想は1回程度まで減りました。米長期金利の指標である米10年債利回りは一時4.7%まで上昇し、金利上昇は米株式市場のけん引役であるハイテク株の割高感を意識させたことで、株価の調整に繋がりました。このように一時的な金利上昇と株式市場の下落をとらえて、当ポートフォリオは一部入れ替えなどリバランスを行いました。内容は次の通りです。

先進国国債インデックスファンドを売却し、米国超長期国債の上場投資信託(ETF)為替ヘッジ付きへ切り替えました。これによって世界の国債の全体的な動きから、米国の超長期国債の動きを追うことになり、金利リスクを大きくとることで将来的な金利低下局面でのリターンも期待します。次にハイブリッド債券への投資を換金し、米国ハイイールド債券への投資に振り向けました。これによって堅調な米経済の恩恵を中長期的に期待します。また、複数回に分けて国内株式、海外株式への投資商品の買い増しをそれぞれ行い、組み入れ比率を上昇させました。これによって国内株式の投資比率は約6%から約10%へ、海外株式の投資比率は約17%から23%へ上昇しました。

最終的にキャッシュの比率は約38%から約26%へ低下しています。

■ポートフォリオの基準価格推移(2019年12月~2024年4月30日)

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■2024年4月30日時点のアセットアロケーション

■組入れ資産の状況

■今後とポートフォリオについて

年初から、米金融政策を巡り市場が揺れてきました。5月に入って世界の投資マネーがインフレ鎮静化と米景気後退の回避を同時に達成する、「ソフトランディング(軟着陸)」シナリオへの確信を高めるように再び動き始めたかのように見えますが、この状況をどのようにとらえたらよいのでしょうか。

米経済指標の下振れが相次いだことで、米利下げ見送り観測や、再利上げ論が後退したことが背景にあります。米主要株価指数もまた最高値圏へと上昇基調へ転換し、米金利先物市場は9月までの利下げ転換を7割の確率で織り込む水準です。米連邦準備制度理事会(FRB)のメインシナリオである、年内に2回の利下げも同様に7割と見込まれています。金融政策に敏感な2年物国債利回りも4月上旬以来の低水準に回帰しました。

ある米大手運用会社の債券運用のトップは、利下げのタイミングは9月と12月の2回だろうと予想しています。その後も利下げを続けて、今回のサイクルでは計1.5%金利を引き下げることで、最終的には政策金利が3.75%~4%程度になるだろう、現在の強いインフレの指標はデータの反映のタイムラグによるもので、大部分のインフレ圧力はほぼ払しょくされた、と述べています。また、今後すぐに政策金利が変更されなくても、インフレが正常化しつつあるならば現在の金融政策は実体経済に対して引き締め効果をもたらすようになるため、FRBは望まない金融引き締め効果を回避するためにも、予防的な利下げを実施する、場合によっては例えば労働市場の減速に対応するためにより大胆な緩和を開始する可能性もある、という考えもあります。

一方で、7月の利下げの可能性は低いものの、データ次第ではパウエル議長が9月に利下げに踏み切る可能性はあるが、FRBは良好なインフレ指標が継続することを望むと述べており、インフレ指標の落ち着き次第では年内の利下げ回数が少なくなる可能性もある、という意見もあります。

11月には米大統領選挙が近づきます。FRBは過去にも、大統領選に近い時期でも政策変更を行った例はありますが、それは疑う余地なく政策変更が必要な状況だったためで、堅調な経済が想定よりも長期化すれば、大統領選前後に金融緩和を始めることはハードルが高くなる可能性があります。

いずれにしましても、以前より利下げ転換の開始が遅れてペースも緩くなりそうな状況では、米10年債利回りでおよそ3.8%くらいから5%ほどのレンジと予想するならば、ベストなタイミングは難しいものの、投資家は債券市場に対して前向きな見方をすることができるでしょう。長期的な観点からは、物価上昇の影響を差し引いた実質的な利回りは高い水準にあると多くの投資家が考えているからです。

同時に懸念すべき最大のリスクはやはり政策の失敗だと思われます。結果は後からしか分かりませんが、市場のメインシナリオとなっているソフトランディングシナリオが崩れるとしたら、FRBが非常に高い金利水準を長く維持しすぎて市場や経済が落ちてしまう場合か、もしくは早く利下げをしすぎて次のインフレを引き起こしてしまう場合が考えられます。この場合、インフレが最も怖いものになります。もし経済が後退局面になったとしても、FRBには利下げ余地があります。金利を急速に引き下げる金融政策によって、経済全体を安定させることが可能です。

一方でインフレの再燃となりますと、より強い金融政策で引き締めをしていかねばなりません。この場合は経済全体や金融市場に与えるダメージがより大きく深刻化することが予想されます。毎月の経済指標に加えて、FRBが今後金融政策に対してどのようなメッセージを発信していくのか、余裕をもって注目したいと思います。

■ポートフォリオの戦略的配分について

■ディスクレーマー(ご留意事項等)

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