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NEWS RELEASEニュースリリース

ペレグリン・ポートフォリオ・ウォッチ2024年8月号

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画像26 8月

Peregrine Portfolio Watch
2024年8月号 Vol.45 1000兆円を超えた米「待機資金」はどこへ行くのか

【2024年6月と7月の振り返り】マーケット・コメント

先月の6月に限らず、4月を除いて米国株式市場はこの上半期、輝くような上昇を見せました。米国の代表的な株価指数のS&P500種株価指数は年初から約15%も上昇したのです。さらに、ハイテク株の比率が高い米ナスダック総合株価指数はS&P500種株価指数よりも大きな上昇幅となりました。欧州でも、フランスを除いて多くの国の株価が堅調に推移、中国株もようやく低迷から脱却したように思えます。

ここまでを見ると、各国の中央銀行は、世界経済を崩壊は程遠く、懸念された後退局面に陥ることなくインフレを退治できたとしてほっとしているかもしれません。しかし毎回のことながら、市場の様子は安心とはいかないのではないでしょうか。一部の輝きが強いことで回りが良く見えず目を細めて注視するかのように、慎重と警戒感は払しょくできていないように思えます。

実際、6月の下旬は、重要な動きとして、半導体大手エヌヴィデア(株価が今年最も上昇した銘柄ではありませんが、市場の方向性を決定づける大きな影響力を持つ重要な銘柄)が大幅安に見舞われたのです。同社株は、6月20日に最高値を付けた後、10%ほどの下落に見舞われました。これを機に、米国株式市場は、上昇の割に脆弱かもしれないとの印象が広がりました。その背景として、S&P500種の構成銘柄の上位10社が指数の価値全体の35%を占めるのに対して、利益に占める割合は23%にとどまっていることが指摘されています。つまり、「この乖離はかつてないほど大きく、市場が指数の上位10社の将来利益に対して記録的な強気であることを示唆している」というわけです。

ある米投資会社のエコノミストの言葉によると、「今のS&P500の問題は、構成銘柄の一部の株価が高いことだけではなく、ごく少数の企業の将来利益に対する強気度が記録的に高いこと」とあります。実際、指数の構成銘柄のうち、指数そのものより株価が上昇した企業はさほど多くはなく、株式時価総額の最高峰に位置する一握りの銘柄の劇的なアウトパフォーマンスが、時価総額で加重平均した指数の上昇を引き上げているのです。

バブルとは言わないものの、投資家の心理として、投資家は価値が上昇しているものを買いたいと思う傾向があるため、投資家が実際に買うと、その投資対象の価格が上昇し、新しい買い手をさらに呼び込む循環が平均を超える上昇につながります。「米国の株式市場が上昇したのは、投資家が米国市場を買ったからだ」という理屈は目新しいものでも何でもないですが、問題は、この理屈を知っていても、何がきっかけで相場が下落して過熱を知ることになるか、そのタイミングはいつなのか、手掛かりにはならないということです。

株価上昇が一部銘柄に集中していることへの懸念は時間と共に増していくことになりますので、持続可能な上昇であるための健全な調整や緩やかな上昇局面への移行が進むか、上半期の上昇を吐き出してしまうような局面に遭遇するのか、金融政策の転換や大統領選挙などイベントを控えた下半期に向けて冷静さが必要とされるでしょう。

■ポートフォリオの状況について

2024年6月から7月中旬にかけて、当ポートフォリオは上昇を続け、7月12日に基準価額は最高値の14,446円をつけました。5月と6月の2か月間ではポートフォリオの上昇率は4.4%となり、保有商品のすべてが上昇しました。

牽引しましたのは、米国株式と米国社債(含むハイイールド債券)です。大幅上昇の内訳には1ドル150円突破して進んだ円安の、為替評価益も含んでいます。一方、日本株式は途中での上昇こそありましたが6月末時点では小幅上昇となっており、ゴールドは足元の動きは横ばいとなっています。

ただ、7月中旬以降は日米株式市場が下落に転じたことと、1ドル155円を割って約2か月ぶりの為替水準にあることから、ポートフォリオの基準価額も下落、7月末にはこちらも2か月ぶりの水準まで調整した動きとなっています。

この間、当ポートフォリオは上昇傾向の中で追加の投資を控えていましたが、7月下旬に日本株式のTOPIX連動型インデックスファンドを1.5%、米国のナスダック総合株価指数連動型インデックスファンドを1%ほど、それぞれ追加投資を行いました。2024年以降、ポートフォリオにおけるキャッシュ比率が約25%まで低下しており、一旦は小幅なリバランスにとどめました。

米国を中心に金融政策の転換を目前とする中で、秋の米大統領選挙や経済見通しの不確実性が高いことを考慮し、株式だけでなく債券などポートフォリオ全体の配分を見直していく可能性があります。言い換えますと、市場の投資環境の変化に応じて柔軟に対応する方針を再確認しております。

■ポートフォリオの基準価格推移(2019年12月~2024年7月31日)

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■2024年7月31日時点のアセットアロケーション

■組入れ資産の状況

■今後とポートフォリオについて

米連邦準備理事会の(FRB)のパウエル議長は、7月9日の議会証言で、「米経済はもはや過熱していない」と述べ、利下げを探る局面に入ったと示唆しました。9月利下げ開始シナリオを織り込む市場関係者に自信を持たせる内容で、金融引き締めからの方向転換に向けた布石となります。議論はあるものの、利下げ開始の可能性が高まったことを受け、米債券市場では5年以内の短期金利が低下(債券価格は上昇)し、長期的な景気の行方を重視する20年以上の超長期金利はむしろわずかに上昇傾向(債券価格は下落)となり、長らく続いてきた逆イールドの幅の縮小が進みました。

パウエル氏の証言にフォーカスしますと、「インフレだけがリスクではない」と経済の下支えにも配慮する形で、「金融引き締めの縮小が遅すぎたり早すぎたりすれば、経済活動や雇用を不当に弱める可能性がある」と強調しました。パウエル氏が重視するのは、雇用情勢の変化と言われています。「直近の経済指標は雇用情勢が2年前に比べてかなり減速しているという、かなり明確なシグナルを送っている」として、これまでの金融引き締めの効果を強調しながら、もやは過熱した経済ではないと訴えています。

パウエル氏は、具体的な利下げ開始の時期については明言を避けていますが、金融市場では、9月利下げ開始の予測がますます確かなものになりつつあります。この背景には、9月開始で年2回実施という利下げシナリオが否定されなかったことがあります。大統領選挙の前後に金融政策の転換は控えられるという予測はトーンダウンしており、政策決定を行う米連邦公開市場委員会(FOMC)は年内、9月の17日~18日、11月5日の米大統領選の投開票後の6日~7日、そして12月17日~18日の3回あります。

とはいえ、やはり経済や物価の先行きに関するリスクも山積しています。例えば25年末に期限を迎える個人所得税などのいわゆる「トランプ減税」の延長も含め、トランプ米大統領候補が示す案はインフレ抑制の動きを崩しかねません。政治問題となっている移民の流入についても物価への影響が懸念されています。パウエル氏は政治的な要因が絡む問題には言及しないと説明を避け続けていますが、不透明性は今後も持続すると思われます。さらに、政策決定に重要な要素である物価の経済指標は、9月会合までに公表されるもので3か月分、雇用統計は2カ月分あり、まずはある程度のデータがそろう8月下旬開催の経済シンポジウム「ジャクソンホール会議」までは一旦待つ必要がありそうです。

9月利下げを巡る山場に向けて、市場の思惑通りに高金利政策の正常化に向けた環境が整うのか、多くな注目点です。

このような中、残高が拡大(資金流入)を続けている金融商品があります。投資の待機資金にあたる、米国のMMF(マネー・マーケット・ファンド)です。その残高は7月2日時点で6兆1538億ドル(約1000兆円相当)となり、過去最高を更新したそうです。金利(特に短期金利)の上昇局面に強い商品設計で、高利回りを狙った資金が流入してきたわけですが、FRBが利下げに転じた場合、MMFにたまる資金が株式市場に流入するとの期待も考えられます。

理由の一つですが、米国株強気派を心理的に支えるのがこの積み上がった巨額のMMFなのです。利下げによって短期金利が下がれば、6月末時点で主要MMFの平均利回りが年利換算で5%強ある水準が、今後低下していく可能性があります。そうなるとMMFからの資金シフトが起きる公算が高いと言われています。とすると気になるのはその膨大な待機資金の行方です。

米大手金融機関のバンク・オブ・アメリカが6月に238の機関投資家に調査したところ、MMFに滞留する資金の流出先として米国株を挙げた投資家は32%に達したそうです。世界株式の19%と合わせると、過半が株式市場に向かうことになります。(ちなみに米国債は約25%)金額の規模が大きいだけに必然的に注目度も高く、その影響力も期待され、利下げ転換後の堅調な米国株上昇シナリオを支援します。

一方で、MMFからの資金流出は米金利上昇を招く懸念も生じます。米財務省金融調査局によると、政府短期証券や米国債などの残高は4.9兆ドルに達するため、資金流出による米国債などの売り圧力も相応のものになる、というわけです。

これまであまり目にしてきませんでしたが、MMFへの資金流入が金利上昇を抑えてきた効果もあったと言えそうな半面、ひとたび資金流出に転換すれば、米国債の売り圧力と金利上昇となることで、米財政に悪影響を遠からず与える懸念があるというのです。不透明性の高い金融市場を冷静に見つめるために、市場を動かす巨額マネーの行方は非常に重要です。そして株価上昇を歓迎する投資家も多いと思われますが、拡大する米財政赤字の将来的な影響とコストも注意しておく必要がありそうです。

長期間にわたる資産運用を安定的に続けていくためには、やはり短期的な視点と長期的な視点を両方併せ持つことが必要でしょう。

■ポートフォリオの戦略的配分について

■ディスクレーマー(ご留意事項等)

本資料は、投資判断の参考となる情報提供のみを目的として、ペレグリン・ウェルス・サービシズ株式会社(以下、当社)が独自に作成したものです。特定の銘柄について投資勧誘を目的にしたものではありません。本資料で言及しました銘柄や投資アイデアは、投資に関するご経験や知識、財産の状況及び投資目的が異なるすべてのお客様に一律に適合するとは限りません。投資に関する最終決定は投資家ご自身の判断と責任でなされるようお願いします。本資料は、信頼できると判断した情報源からの情報に基づいて作成したものですが、正確性及び完全性を保証するものではありません。万一、本資料に基づいてお客様が損害を被ったとしても、当社および情報発信元は一切その責任を負うものではありません。また、本資料は著作権によって保護されており、無断で転用、複製または販売等を行うことは固く禁じます。

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