NEWS RELEASEニュースリリース

ペレグリン・ポートフォリオ・ウォッチ2020年10月号

MAILMAGAZINE
メルマガバックナンバーアイキャッチ画像2020.10

Peregrine Portfolio Watch
2020 年 10 月号 Vol.10
混迷の秋、「催促相場」へ突入か?
【9 月の投資環境】マーケット・コメント
米国では、インフレ率が目標値(2%)を超えても、労働市場が回復しない限り金融緩和を継続する姿勢を見せていることから当面は緩和的な金融政策が続くとの思惑で、ナスダック指数(ハイテク銘柄を多く含む指数)や S&P500 指数は 9 月初旬に高値更新しました。
しかし、4 月からのハイテク銘柄の価格上昇が急であったことや、トランプ大統領が中国貿易依存度引き下げを明言したこと等から、ハイテク銘柄の調整とともに株式市場は下落基調となりました。また、欧州でのコロナ感染の再拡大による行動規制、英国の合意なき EU離脱の可能性、大手金融機関のマネーロンダリング疑惑、第一回米大統領選討論会で共和党バイデン氏優位との観測も株価の上値を重くする要因となりました。
■主な投資行動とポートフォリオの状況
9 月末の当ポートフォリオの資産配分は、キャッシュ 59.7%、米国株式 30.3%、コモディティのゴールドが 10.0%で、基準価額は10,811 円(8 月末比マイナス 197 円)でした。米国株式を中心とした下落により、基準価額は月間で約 1.8%のマイナスとなりました。
当ポートフォリオが重点的に投資をしているナスダック指数は 10%下落する場面もあり、月間で同指数はマイナス 5.2%と基準価額の下落要因となりました。また、ゴールドも下落基調で、保有するファンドも 5.5%の下落となり、基準価額を押し下げました。
この下落局面の中、当ポートフォリオはこれまでの方針の通り米国株式への追加投資を検討していましたが、ナスダック指数の主要構成銘柄に世界の投資資金が過熱集中している様相を短期的に懸念し、10 月も調整局面が継続するのではないかとの見解から、結果的に9 月も投資行動を見送っております。
■ポートフォリオの基準価格推移(2020 年 1 月~2020 年 9 月 30 日)

■2020 年 9 月 30 日時点のアセットアロケーション

■組入れ資産の状況

■今後の方針と見通し
先月の米国株式を中心とした調整局面は、これまでの上昇の反動や向こう数カ月間で予想される不透明感の強まり、例えば政治の混迷が経済対策の遅延につながることへの警戒感といったリスクを回避したい投資家の意識が生んだものと考えています。
大統領選挙に向けた不確実性の強まりや、米経済指標の改善ペースの鈍化等がリスクとして考えられますが、大統領選挙後まで米国では金融政策の決定会合は予定されておらず、追加の金融緩和策への期待も高まりづらいタイミングです。政府による追加経済対策の年内実施期待も低下する中で、政策対応を要求するように株価が下落するような、いわゆる「催促相場」で市場が不安定化する展開も想定しております。
ただ、大統領選挙の不透明感や米経済の改善ペースの鈍化といった要素は以前から分かっていたリスクであり驚きはありません。わたしたちは短期目線の資産運用を行うわけではないので、目先のリスク回避に集中せず、来年に向けた視野を持ちたいと思います。
来年にかけての展開を考える上では、①大統領選挙の結果がどちらでも経済支援の姿勢は変わらないだろうということ(特に民主党が大勝した場合は大規模な財政支出が期待できる)、②新型コロナウィルス向けのワクチンの登場が期待される、③米国を中心として世界の中央銀行が依然緩和姿勢を貫いていること、④上下ブレはあっても方向性としては米経済や企業業績は改善が期待できること、などが考えられます。
こうした状況を総合的に考えますと、当面不安定な動きになったとしても、その後の方向性は下よりも上に向く可能性が高いと思われます。
また、足元欧州では厳しい状況が増してきており、新型コロナウィルスの感染者数の再拡大に伴い欧州株式は日米株式よりも下落幅が大きくなっております。もちろん米国でも感染拡大が続いていますが、感染蔓延が長期化する中で景況感を比較すれば、あらたに欧州株式を組入れるよりも、やはり米国株式を選択することになります。
その米国株式ですが、当ポートフォリオはこれまでナスダック指数を中心としてハイテク企業への投資に重点を置いておりましたが、中期的な目線で投資テーマの分散化を再検討しております。具体的には、米国株式全体を網羅する S&P500 指数への投資比率を増やすことや、配当・増配といったテーマを追加の投資候補として考えております。
ただ、景気回復局面で見直し買いが期待される(既に 5 月辺りでは買われた)景気敏感株(例えば鉄鋼や自動車、耐久資本財など)は、株価水準が低いからといっても前述のように不透明性が高まった場合は投資根拠が薄れる可能性もあり、今は安易に投資できないことも事実です。
このように目先は上にも下にも株価が触れる可能性を考慮し、買い目線は維持しつつ、この秋は急がずじっくりとタイミングを待つ方針です。

ニュース一覧に戻る