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【第1回】相場の仕組み ~なぜ価格の動きは読めないのか~

COLUMN
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相場の仕組み ~なぜ価格の動きは読めないのか~

昨年より、株価など市況が大きく動く局面が増えてきました。相場が動く時、そのきっかけや材料については各方面の識者からコメントが出ますが、時に明確な理由や引き金が見当たらず、不安が増大するような状況もあります。

買われてよさそうなものが売られ続ける、明らかに売られすぎなのにまだ値を下げる。株式市場などの相場を見ている時、市場環境と株価などを比較するとこのようなことが往々にしてあります。どうもおかしい、不条理だと思っても価格は思うようには動いてくれません。なぜ相場は時に合理的な説明が難しい動きをするのでしょうか。それは、ここに市場参加者の収益の源があり、それぞれの参加者には相場で見えている景色が違うからです。

金融市場(相場)には動きの方向性(トレンド)があります。一言で言えば、その商品や証券に対する需要と供給の力関係を反映した中長期的な価格の方向性です。しかし相場はトレンドに沿って直線的には進みません。日々の上下を伴って動きます。この、波動とも言うべき価格の上下は、短期的な取引を主とするヘッジファンドなどの投機筋が取引することによって起こります。 一枚の絵でも見る人や見方によっては、見えるものや感じ方が違うことがあります。わたしたちは過去の記憶や経験をアンカーとして、今見えているものを無意識に正しいと認識します。相場も、見る人の立場や経験、期待などによって見え方が違ってきます。「株価」という数字は、正しいかどうかではなく、その時の私たちの目にどう映っているか、ということになります。

市場に参加する人たちには、個人投資家、企業、年金などの運用資金、技術を駆使するヘッジファンド、投資信託の運用資金など様々な参加者がいます。市場に参加する人たちの共通の目的、それは当然ですが安く買って高く売りたい、ということです。

ただ、同じ目的で集まっていても、先に述べたように、割高割安といった感覚や判断基準は人それぞれに違います。状況によっても変化します。ある時点での価格が、昨日よりは高くても今日の高値を見たら安いと思う人もいれば、別の人はこれ以上の上昇は考えにくいからそろそろ高値付近だろうと思う人もいます。今夜のイベントを考えると今日の価格内でとにかく売りたくなった、と考える人もいるでしょう。

買いたい人ばかりに思える上昇相場の中でも必ず売る人がいるから取引が成立し、売り一色に見える下げ局面でも買い手がいるため相場は値段がついているのです。

何かのコンテストを例にすれば、審査員の全一致で一位ということはまずないでしょう。審査員全員が同じ基準で客観視することがあり得ないように、どんな相場状況でも、様々な参加者がそれぞれの基準や事情を持ってその価格を見ています。 このように、異なった見方・考え方・物差し・基準・都合・ルールを持つ人々が同じ目的で集まって価格を立てて売買することで、相場という仕組みが成立しています。

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