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【第2回】買う、売る、何もしない

COLUMN
Jual-Beli-Online

買う、売る、何もしない

資産運用において、株式や債券、為替など分野を問わず、投資行動の判断としては大きく言うと、「買う」、「売る」、「何もしない」の三つしかありません。

「買う」とその資産を保有した状態となり、「売る」とその投資資産は無くなります。または信用取引などで「売り建て」をした場合、「買い戻す」ことで、もとの何もない状態に戻ります。ここでポイントとして挙げたいことは、資産運用は何もない状態(キャッシュポジション)からスタートして、最後はキャッシュポジションに戻ってくるという取引の原理です。

相場に参加する人たちは、必ず買ったものは売り、先に売り建てたものは買い戻します。これ自体は当たり前のことですが、第一回でお話しましたように、一人ひとり異なる基準や事情を持って取引に参加してくる相場の価格の動きを見る上では非常に重要なことなのです。

市場参加者の顔ぶれのうち、多くを占めるいわゆる外国人投資家、ヘッジファンド、投資信託などのファンドマネジャーはプロ投資家です。彼らは運用を任されるとその資金を何らかの形で運用する必要があります。投資対象がなんであれ、キャッシュもしくは投資対象の組み入れ比率をどう変化させようとも、彼らは市場に参加した状態になります。最後にすべてをキャッシュポジションにして戻ってくる時というのは、運用を解散してすべてを投資家に返還する時です。

プロ投資家は基本的には、常に何かしらの投資を行っている状態になります。手元にキャッシュをたくさん置いておく状態は意外と少ないものです。キャッシュ多く持つ時は通常相場の大幅な下落を見越している時ですが、見込通り相場が下落しても得られる利益は無く、配当も金利も入ってこない辛い状態です。もし、意に反して相場が上昇した場合は利益獲得の機会を逸失したことになりパフォーマンスの悪化につながります。

運用成績を常に気にしなければならないプロにとってキャッシュポジションを大胆に取ることは勇気のいることで、実は相場下落局面をやり過ごすために中立的な状態にするということは、彼らにとっては同業者の平均と同じくらい投資している状態にする、ということを意味しているのです。

つまり、どれほどの下げ局面でも先を100%読み切ることが不可能である以上、プロが十分にキャッシュポジションをとってやり過ごすということは通常はあまりなく、常に売り買いをしていくという投資行動を取るのが一般的です。どんな状況でもプロ投資家が積極的に市場に参加することで、市場は取引の場としての連続性が常に維持され、成立し続けているのです。

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