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【第5回】投資と投機の違い

COLUMN
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投資と投機の違い

前回は投機筋の役割についてお話しましたが、今回は投資と投機の違いについて触れてみたいと思います。

「投資」とはその字が表すように、あるもの(投資対象となる資産)の将来性や期待に対してキャッシュを投じるということです。必然的にある程度の保有期間を必要としています。保有する資産から将来得られるであろうリターンを期待することは当然ですが、特徴としては保有すること自体、つまり保有資産そのものが需要の対象です。

これに対して「投機」とは「機会」つまりタイミングにキャッシュを投じるということです。取引における差益、リターンそのものが目的なので、取引の対象となる商品自体にこだわりはありません。必要なのは保有期間ではなくタイミングを生む価格変動です。言い換えますと、価格変動自体が需要の対象なのです。

投資においては、思惑と異なった動きをして含み損が出てしまった場合、保有期間を延ばしてその間に利息や配当を得つつ、再び成長期待が持てるようになるまで待つことができます。しかし投機においては保有期間に制約があり、失敗した場合は反対売買をして出直す必要があります。

投資においては、ある商品を購入すれば時間と共に右肩上がりの上昇が望ましく、日々の価格の乱高下は神経をすり減らすだけですが、投機においては短期的な売買を繰り返しますので、日々の乱高下が大きなチャンスとなります。乱高下が激しいほどに損しても取り返すチャンスが多いことになります。

投資においては短期的な価格の乱高下はリスクが大きいとされますが、投機においては逆にリスクが小さいとされます。

投資においては将来の価格上昇の根拠となる企業の業績や経済情勢といった実際のデータが重要になりますが、投機において重要なのはチャートなどで見る日々の価格の動きそのものや取引の量とその変化などです。日々の企業業績や経済情勢に関するニュースで株価などの価格が動くのは、もちろん短期間で状況が大きく変化するからではなく、このような材料によって投機筋が激しく売買を行うからです。価格が動いて収益機会が得られるならば、ニュースや材料は何でもよく、結果として価格が動いた方向を見て、そのニュースがプラスの材料であったか、マイナスの材料であったか、後から解釈されることも少なくありません。

投資は企業業績や経済情勢のデータを信じることが前提ですが、投機は価格変動が必要なためそのようなデータを必要としません。値動きそのものが重要なのです。きっかけはなんでもよく、その材料の解釈が後からついてくる場合も多いのです。

投資資金は長く保有できるので時間と共に変化する価格の動き(方向性)に影響を及ぼしますが、投機資金は常に短期間における反対売買を前提としていますので、日々の価格変動の上下幅に大きな影響を及ぼします。投資は時間を味方に、投機は価格変動を味方につけるといえるでしょう。

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