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元ファンドマネジャー【IFA佐々木のコラム.74】
「億り人」になれる可能性はどの程度あるのか?

COLUMN
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資産形成・豆知識74.

「億り人」になれる可能性はどの程度あるのか?

雑誌や書籍等で「億り人」という言葉をよく目にします。

わずかな元手で、1億円超の金融資産を手にした人たちのことです。

雑誌や書籍等によると、主に株式やビットコインの売買で稼いだとのことで、かなりの人数がいるように思われますが、どれほどの人が「億り人」になっているのでしょうか?

残念ながらこのような統計データはありません。
しかし、推計はできます。

 

一般社団法人日本暗号資産(仮想通貨)交換業協会が2018年4月に発表した「暗号資産(仮想通貨)取引についての現状報告​」という資料によると、「国内の取引所に1億円以上置いているウォレットは268口座」です(下記表をご参照ください。)。

【国内での取引状況 預かり資産額(仮想通貨を含む)の分布】

※平成30年3月時点。
(出所:一般社団法人日本暗号資産(仮想通貨)交換業協会 「暗号資産(仮想通貨)取引についての現状報告​」)

換金済み、あるいは、海外口座を利用しているケース等もあるため実体を表しているとは言い難いのですが参考にはなります。

また、ビットコインは始まって間もないため、時間を経ると「億り人」は増えるのかもしれません。

 

それでは、証券口座ではどうでしょうか?
これも統計データはありませんので、ビットコインのデータをもとに推計するほかありません。

野村証券の証券口座数が約500万口座、SBI証券の証券口座が約500万口座です。

その他の証券会社(ネット証券を含む)合計が約1,200万口座です。(2020年3月末。各社のHPの証券口座数のおおよその合計数。)

重複して証券口座を開設されている方もいると思いますが、詳細は不明なので、今回は証券口座開設人数を1,000万人として計算します。

「億り人」の割合(0.02%)がビットコインと同率ならば、証券口座の「億り人」は2,000人です。

公表データから推計できるのは、これだけです。あとは想像するほかありません。

 

別の角度からの資料として、野村総合研究所(NRI)の2017年の調査があります。
この調査では、日本で1億円以上の金融資産を保有している世帯(富裕層)は約127万世帯と推計しています。これは全世帯(約5,372万世帯)の約2.36%です。
(注)  国税庁「国税庁統計年報書」、総務省「全国消費実態調査」、厚生労働省「人口動態調査」、国立社会保障・人口問題研究所「日本の世帯数の将来推計」、東証「TOPIX」および「NRI生活者1万人アンケート調査(金融編)」、「NRI富裕層アンケート調査」などからNRI推計。

この富裕層数は、親や祖父母からの資産移転があった人(もともと裕福な人)も多く含まれていますので、「億り人」は富裕層のうちのわずかにすぎないと考えられます。

 

ここから先は“空想”です。
富裕層の1%が「億り人」であるとすれば、1.27万世帯、全世帯に占める割合は0.0236%
富裕層の2%が「億り人」であるとすれば、2.54万世帯、全世帯に占める割合は0.0472%

さて、いったい、どのくらい人が「億り人」にたどり着いているのでしょうか?

 

佐々木幸喜(IFA佐々木へのお問い合わせは以下のフォームからお願い致します。)
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