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IFAが実際に行う資産運用の公開レポートメルマガ 【ペレグリン・ポートフォリオ・ウォッチ】2020年6月号

COLUMN
6月号
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Peregrine Portforio Watch

2020年6月号                        Vol.6

2番底の深読みは空振りしたが

【5月の投資環境】マーケット・コメント

(株式)

新型コロナ感染拡大防止のための外出禁止や移動制限が緩和され経済活動が徐々に再開し、また、金融緩和策や財政支出が追加されたことから、早期景気回復期待で株価は堅調な動きとなりました。経済活動の再開や石油減産に伴う石油価格の上昇、新型コロナ治療薬やワクチンの開発への期待も株価を支える材料となりました。

 

しかしながら、新型コロナで経済活動がどの程度の期間阻害されうるのか不透明な状況であり、また、経済活動の再開に伴う感染第2波、3波も予想されるなど、新型コロナが企業業績に与える影響を見通せないままの株価上昇となっており、今後の失業率や経済指標等には注意が必要です。

 

現状では、経済の早期回復期待、あるいはコロナ後の「新しい生活様式」で恩恵を受けるとみられる銘柄への積極的な投資が株価を支えていますが、信頼性の低いデータ等に基づく思惑による株価上昇という一面もあり、株価は神経質な動きになると見込まれます。また、今後は、米大統領選挙をめぐる思惑や米中問題も波乱要因として加わります。

 

人種差別抗議デモ(白人警察官の暴力により黒人が死亡したことが契機)の拡大や新型コロナによる死亡者が増加する中、再選を目指すトランプ大統領は、国民の関心を内政からそらすために米中対立を先鋭化させる可能性があることには注意が必要と思われます。

 

(債券)

 財政支出の拡大による国債増発が債券金利を上昇させると懸念されるものの、各国政府が緩和的な金融政策及び量的緩和(中央銀行による国債の無制限購入等)の継続を表明していることから金利は安定的に低位で推移しました。

 

■主な投資行動とポートフォリオの状況

5月末の当ポートフォリオの資産配分は、キャッシュ67.8%、米国株式22.0%、コモディティのゴールドが10.2%で、基準価額は10,282円(4月末比プラス164円)でした。

 

世界の金融市場は、スピードこそペースダウンしましたが5月も上昇基調が続き、米NYダウは3月半ば以来約2か月半ぶりの高値圏となりました。欧州株式指数も同様に戻り基調が継続し、日経平均株価も同様、22,000円に接近して5月を終えました。

 

このような動きの中で、当ポートフォリオは戦後最大級とも言われる実体経済の急激な落ち込みと、割高感と共に上昇する株価の動きを慎重に考え、今月はアクションを起こしませんでした。

 

仮にもう少しリスク資産を多く保有していれば、一部を換金する判断をしていたと思われます。

 

4月以降先進国株式では目立った押し目(株価の調整局面)がなく、悪い経済指標にはあまり反応せずに、リスク資産を持たないことがリスクだと意識される買いが株価を押し上げてきました。

 

当ポートフォリオでは、5月末時点でゴールドファンドが約4%、S&P500インデックスファンドが約4%、ナスダック100インデックスファンドが10%強の含み益状態となっています。

 

ただ、ポートフォリオ全体に占める投資資産が約3割と少ないため、基準価額の上昇は小幅なものに留まっております。

 

■ポートフォリオの基準価格推移(2020年1月~2020年5月31日)

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■2020年5月31日時点のアセットアロケーション

 

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■組入れ資産の状況

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■今後の方針と見通し

前回でもお伝えしました通り、世界の金融市場では、経済状況と株価の動きとの乖離がさらに広がっています。当社、いえ大方の予想を裏切り、株式市場は崩れる気配すら見せません。経済の基礎的な状況は戦後最悪とも言われるのに、です。過去の弱気相場ではほぼ例外なくあった「二番底」が出現しないのはなぜでしょうか。

 

市場ではこのような見方がありました。「景気が崖から落ちるように崩落し、景気の底がいきなり見えたから。景気の底が見えて対策が打たれれば、株価はそれ以上下がらない」と。通常は景気後退局面から底入れまでに1年前後と時間的な幅があり、その間に出される対策も五月雨式で、マーケットは「催促相場」として下落を続けるパターンが多いのですが、今回はまったく異質の現象でした。

 

では世界の市場関係者はもはや強気なのでしょうか。

 

米バンク・オブ・アメリカが5月に発表したファンドマネジャー調査によると、景気のV字回復を予想する回答者はごく少数で、U字型またはW字型回復を予想した回答者が全体の75%だそうです。また、約7割の回答者が、3月下旬から5月にかけての上昇を弱気相場の中の一時的な戻り局面だろうと答えたそうです。

 

以前に、リーマンショック時の動きと3月のコロナショックの動きが時間軸上で似ていると申しましたが、仮にそのままでいくと次は7月頃に大きな下落、「二番底」が来る予想になります。しかしむしろ4月以降の動きが、リーマンショック時の「二番底」後に似ているようなのです。そうならば当面は上昇基調が続くことになります。

 

もちろんこのまま順調に右肩上がりの傾向を保つとは限りません。各国の経済再開によって新型コロナの第2波が懸念されるうえ、米中間の対立も再びヒートアップ気味です。 

 

当ポートフォリオは6月も基本的には慎重姿勢を保ちます。理由として、5月の上昇スピードが4月とは格段に緩やかになっている背景に注目しているからです。

 

市場が一段と上昇するには、それなりの材料が必要です。例えばワクチンや大型の追加経済対策に関係するようなインパクトがある材料です。しかし、先月号でもお伝えした通り、市場は将来的な回復局面を先取りしており、一連の弱い経済指標や回復の速度に不安がでれば、再び市場は不安定化する可能性があります。

 

支援措置で経済を延命はできても、景気回復をもたらすことは難しく、結局は感染の抑制が必要だからです。

 

市場の先行きを正確に見通すことは不可能ですが、上昇時には楽観論が悲観的な現実を見えにくくします。しかし、債券の利回りが上昇(価格は下落)せず、金の価格が大きく上昇し、米国ではMMF(待機資金の性格が強い商品・当社セミナーでもご紹介済み)の残高が積み上がり、世界の投資家が株価上昇を横目に神経質になっていることが分かります。株価上昇を支える期待感が一時的に剥落したり幻滅したりする可能性を含めて、当ポートフォリオは資産の成長期待が高い分野に重点を置いてまいります。

 

具体的には、今月は米国のハイテクを中心とした中小型成長企業への投資を検討します。いつでも換金できる心づもりと、十分なキャッシュポジションを持つという慎重姿勢は基本路線として維持します。

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