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元ファンドマネジャー【IFA佐々木のコラム.106】
因果関係と相関係数

COLUMN
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資産形成・豆知識106.

因果関係と相関係数

ポートフォリオ運用においては、金融商品選択時に相関係数を参考にします。

動きの異なる(相関係数が低い、あるいは、マイナスの相関係数)複数の金融商品に分散投資し、ポートフォリオ全体の資産価格変動を抑制することができます。

投資した金融商品Aがマイナス10%であったとしても、投資商品Bがプラス11%であれば、ポートフォリオ全体の収益をプラスにすることが可能です。
(投資商品Aへの投資割合以上に、投資商品Bに投資していればプラスになります。)

2商品の価格データがあれば相関係数は簡単に計算できます。
しかし、同時に、因果関係について確認することが重要です。
相関係数を盲信してはいけません。
その相関は、偶然、一時的で、信頼性に欠ける場合があります。

強い因果関係があれば、相関係数は一定範囲内に収まる可能性がありますが、弱い因果関係、あるいは因果関係がない場合には、信頼できない相関係数になってしまいます。

例えば、株価と債券価格は歴史的にマイナス相関です。
景気に応じ、株価と債券価格は、通常、逆の動きをします。

株価が上がれば、債券価格は低下(金利は上昇)します。

株価が下がれば、債券価格は上昇(金利は低下)します。

しかし、現在の中短期金利は金融政策により、ほぼゼロ近傍で管理されており、株価が下落しても、マイナス金利が大幅に進む(価格が大幅に上昇する)可能性は小さいように思われます。

また、量的緩和政策により、日銀が債券を継続購入しているため、株価が上昇しても債券金利は上昇(価格は低下)し難くなっています。

つまり、金利水準管理や量的緩和政策により、株価と債券価格の本来の因果関係が機能し難くなっているように思われます。

因果関係が薄いにもかかわらず、機械的に過去の相関係数でポートフォリオ管理をすることは無謀であるように思います。

このような場合には、現行の運用環境や金融政策を考慮し、定性判断を加えてポートフォリオを管理すべきかもしれません。

 

佐々木幸喜(IFA佐々木へのお問い合わせは以下のフォームからお願い致します。)
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