元ファンドマネジャー【IFA佐々木のコラム.114】
資産運用は、科学?それとも芸術?
COLUMN
資産形成・豆知識114.
資産運用は、科学?それとも芸術?
資産運用は、人間の感性(定性判断)を反映させる芸術(アート)という考え方があります。
多くのアクティブ運用で採用されている考え方です。
これに対し、資産運用は科学(サイエンス)とする考え方があります。
金融工学や統計学等を駆使し市場分析を行い、人の感情を排して運用することで収益が得られるという考え方です。
システム運用、AI(人工知能)運用等で採用されている考え方です。
どちらでしょうか?
どちらでもないのかもしれません。
断言できるのは、自然科学の観点からは資産運用を科学とするのはとてもハードルが高いということです。
運用分析にあたっての要素(規制強化、規制緩和、税制変更、通貨供給量の変化、国際関係の変化、市場環境の変化等)は常に変化し、また、常に要素が新規追加あるいは削除されます。
これら価格変化に影響を及ぼす要素変化のインパクトを測定し定量化することは困難です。
モデル化ができたとしても、モデル内の要素は複雑に変化し、また、要素間の影響度も変化し続けるため、自然科学とは言えなくなります。
自然科学であれば、インプット(物質、触媒、温度など)に対するアウトプット(結果)は一定になりますが、資産運用でこのような関係を見いだすことは困難です。
つまり、「資産運用の科学(サイエンス)」は「社会科学」と心得るべきと思います。
そして、「社会科学」は多くの不確実性を含んでいることを理解する必要があります。
佐々木幸喜(IFA佐々木へのお問い合わせは以下のフォームからお願い致します。)