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【第7回】買い時・売り時を狙う

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買い時・売り時を狙う

株式市場などの相場では、通常1年に何度か大きなチャンスがあります。後からみて結果的に絶好の買い時・売り時だったというタイミングがあります。もちろん実際にはそのタイミングをうまく捉えることがとても難しいわけですが、そもそもどうして買い時・売り時というタイミングが出現するのでしょうか。

相場は売り手と買い手のバランスを価格で示しながら常に揺れ動いています。相場が横ばいであまり動かない。あるいは価格が長らく狭い幅での上下を繰り返して同じ水準に留まっている。このような時は、投資家が買いも売りも良いタイミングではないと見ているか、今の価格を妥当な水準だと見ていると考えられます。何を基準に妥当だと考えるか、それは経済全体の状況や企業の業績動向、事業活動、さらには金利水準など様々な投資環境との比較の上で判断することが一般的です。

ところが、このような経済全体の状況や投資環境といったいわゆるファンダメンタルズ(基礎的条件)は、ゆっくりではありますが刻々と変化しています。株価などが長らく横ばいで推移していても時間の経過と共に株価水準を裏付けていた経済情勢が変化している場合もあります。すると、何かのきっかけで価格がボックスレンジを抜けると、値動きが無く放置されていた銘柄にまるでエネルギーが蓄えられていたかのように、上(下)へトレンド転換することはそれほど珍しいことではありません。直近の高値更新、安値更新が材料として注目されるからです。

また、逆に価格の上昇または下落がどうにも行き過ぎている。合理的に価格水準を考えようとするとどうにも説明がつかない水準まで上昇(下落)している。このような局面がまれにあります。大抵の場合、投資家の心理が楽観や熱狂、または悲観に傾いており、非常にストレスがかかったり理解に苦しんだりする局面です。なぜこのようなバブル的な動き、またはパニック的な動きが起こるのでしょうか。

先にも申し上げた通り、経済のファンダメンタルズの変化は通常はゆっくり緩やかなもので、一夜にして激変してしまうようなことはまずありません。しかし相場は将来への変化を予測して動きます。仮に現在1,000円の株価が1年後には2,000円になってもおかしくないような成長ストーリーが考えられ、多くの市場参加者がそれに気づいたとします。すると上がりそうなものには少しでも早く、1円でも安く買いたいものですから、1年後ではなく1ヵ月後には1,800円くらいまで一気に上昇してしまうことがあります。

スピード違反のような上昇が起こると、1年後に2,000円になるかもしれないストーリーが3,000円いや4,000円になってもおかしくないといった気持ちになり、3カ月後にはとっくに2,000円を超えていたりします。しかし買い手と売り手がいる限り永遠の上昇はあり得ませんので、いずれどこかのタイミングで合理的と思われる水準から大きく乖離していることに気づいた時が天井となり、価格は急落します。ですから、タイミングは予測できませんが合理的に説明できないなと思う価格水準まで来た時が売り時です。いったん崩れ始めた相場は、それまで積みあがってきた買い手はずしが起こり、強気相場は一変して弱気相場となり、とにかくどこで売ればいいかとしか考えなくなって下落が続きます。

ところが、当初1年後に2,000円になるかもしれないストーリーの根拠となっていた経済や企業の基礎的条件(ファンダメンタルズ)が短期間で変化していなければ、前の安値はさすがになかなか更新しにくいものです。再びゆっくりと2,000円に向けた底値切り上がり方の上昇トレンドが見えてくる場合が多いですから、前の安値付近に来たなと思うところが買い時となります。

下げ局面でも同じことが言えます。先行きの不安材料をすべて織り込むかのようなパニック売りに、売らなければならない売りが相当出て取引量も大きく増えた時、ファンダメンタルズの変化の予測に照らしてもこれはさすがに下げ過ぎだと思う局面では、どこかで一旦は買い戻しが入り、買い時の機会を与えてくれます。

ですから、確かに明確な投資の好機というものはそうそうあるものではなく、振り返ってみてしか分からないものですが、買い時・売り時については、緩やかに変化するファンダメンタルズと市場価格の急激な変化との乖離という視点で相場を見てみると良いでしょう。相場に流動性を与える投機筋によって価格は常に行き過ぎと戻り過ぎを繰り返して揺れています。資産運用において見るべき軸は、やはり経済情勢や企業業績の動向といった投資環境、ファンダメンタルズです。

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