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【第11回】人生100年時代の資産運用

COLUMN
ご老人とお金

<長生き時代の資産運用>

今や日本では1,800兆円を超える家計金融資産が蓄積されていると言われています。今後、人口減少や高齢化社会を迎えるにあたり、家計資産を安定的に形成していくためには、蓄積された金融資産を有効に活用していくことが重要になります。

では、どのように金融資産を有効活用していくと良いのでしょうか。まず、先行する米国を例に取ってみましょう。家計金融資産の残高は、過去20年間で米国では3倍以上に大きく増加しています。一方日本では、同じ期間で約1.5倍の増加にとどまっています。

家計金融資産の構成についてはどうでしょうか。米国では 年金・保険等を通じた間接的な保有分も含めた株式・投資信託の割合を見てみますと、1995年末において既にこれらが39%と高い水準でしたが、2016年末においては46%となっており、この20年間でさらに高まっています。一方、日本においては現預金が過半を占めるという割合が過去20年間を通じて変わっておらず、株式・投資信託の割合は間接保有分を含めても2016年末において19%にとどまっています。

<米国の家計金融資産増加の要因>

このように、家計金融資産増加の要因となる株式・投資信託の割合は、米国において過去20年間で着実に高まりました。その背景には、税制優遇措置により、401K(企業型確定拠出年金)やIRA(個人向け確定拠出年金)といった、いわゆるDC(確定拠出年金)の普及が考えられます。

日本においても2001年より企業型確定拠出年金制度が導入されていますが、上述のように家計金融資産の増加に米国と日本の間で差が出ているのはなぜなのでしょうか。運用商品の内訳をみますと、米国ではその多くが国内外の株式や債券に広く分散して投資する投資信託であり、低リスク低リターンの預金と合わせてバランスよく保有する金融資産の構成となっています。一方で日本では、上記のような投資信託の割合は極めて小さく、半分以上は元本確保型商品で運用されています。つまり、日本ではほとんどリターンが得られていないことになります。

<株式・投資信託の年代別保有比率>

また、日米の株式・投資信託の保有比率を年代別にみると、日本では65歳以上の方が6割を占めるのに対し、米国では4割弱となっています。つまり、米国では比較的若い世代の方も株式や投資信託を積極的に活用していることになります。このことから、若い世代からの資産運用が家計金融資産の増加のカギになると言えるでしょう。

<長生きするリスク、生活費が大きな負担に>

ではなぜ若い世代から資産運用が重要なのでしょうか。それは、今の時代、長生きするリスクに伴い、老後の生活費が大きな負担になるからです。80歳まで生きるのと、100歳まで生きるのでは、リタイア後のマネープランに大きな違いが出ます。定年後のゆとりある生活に必要な金額と、厚生年金で支給される年金想定額との差額は、夫婦二人で13万円程度と言われています。

また、80歳まで生きる場合、65歳時点で必要な貯蓄額は2,340万円、100歳まで生きる場合は5,460万円と言われています。この金額を40歳から貯めようとすると、80歳まで生きる場合は月に7.8万円、100歳まで生きる場合は月に18.2万円ずつ貯めていく必要があるのです。

このように、長生き時代と言われる現代においては、若い世代からの計画的な資産運用の必要性がとても高まっていると言えます。

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