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元ファンドマネジャー【IFA佐々木のコラム⑪】
値上がり益と配当、どちらを重視すべきか?
第二回

COLUMN
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資産形成・豆知識11.

値上がり益と配当、どちらを重視すべきか?第二回

「キャピタルゲイン」と「インカムゲイン」の投資配分を決めるのは下記の3要素になります。
① リスク許容度(どの程度の価格変動を受け入れられるのか)
② 運用目標
③ 目標収益率

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リスク許容度(どの程度の価格変動を受け入れられるのか)
値上がり益狙うには、価格変動リスクを受け入れなければなりません。
投資の原則は、下記の通りです。
ハイリスク・ハイリターン・・・高い価格変動性を受け入れる見返りに、高収益の機会を得る
ローリスク・ローリターン・・・低い価格変動性が好ましいため、低収益を容認する

キャピタルゲインを狙うのであれば、通常、株式等のハイリスク・ハイリターンの金融商品に投資します。それでは、株式投資の際には、どの程度の価格変動性のリスクを取っているのでしょうか?

標準的な国内株式の価格変動性は年±20%程度です(投資する企業により株価の変動性は異なります)。これの意味するところは、株価は日々アチコチ動きますが、1年後に80-120の範囲(現在を100とした場合)内の株価になる可能性が68%ということです。
年±30%であれば、1年後に70-130の範囲内の株価になる確率が68%ということです。
株式の平均期待収益率は、年6%程度(いろいろな推計方法がありますが、説明は割愛いたします)と見込まれます。

これらを言い換えれば、株式は中長期的に平均年6%の収益が期待できる(ある期間には、マイナス、あるいは+10%を超える収益になることもある)可能性があるものの、この間には、概ね年±20%の価格変動(価格変動率が±20%の場合)を受ける可能性が高いということ、すなわち、1年後にはマイナス20%になることもあり得る資産であるということです。

 

中長期の投資とはいえ、この時に問題になるのは、
① 株式の期待収益率見通しは、見直さなくて良いのか(期待収益率は変わるはず・・・・)
② 株式が下落しているときに損失確定の売却は必要なのか
③ 株式が上昇しているときに、どこで利益確定の売却を行えばよいのか

これらをマネジメントするために下記の能力が必要になります。
① 価格判定能力=どの程度の価格水準が安い(あるいは高い)のか、判別(分析)する能力
② 現状分析能力=価格を判定する上での前提条件を把握する能力
③ 将来推計能力=将来価格を推計する上で、合理的と思われる変化を推察する能力

 

ただし、短期売買(トレーディング)で“値上がり益”を狙う場合に必要な能力は、需給やテクニカル分析等のトレーディング技術であり、株式のファンダメンタル(基礎要因)に関する分析能力は特に重視されません。しかし、短期売買の手法に普遍性(一定のルールの下で成り立つ)や再現性(同じようにトレーディングすれば、同様の結果が得られる)を見出すことは難しいため、通常は、資産形成の方法として優れているとはいいがたい面があります(個人の才覚によるところが大きいため一般の人には難しいという意味です。)。

買いのタイミングや売りのタイミングを計るには技術が必要であり、また、想定外の下落に直面した時のリスク管理(追加購入、何もしない、あるいはロスカット)の投資判断には大きな決断が必要になります。

この価格変動性リスクを大きく取れる(取りたい)人ほど、より多くの資金を値上がり益追求のために配分できます。

次回は運用目標、目標収益率によって、どのように考えるべきか解説します。

 

佐々木幸喜(IFA佐々木へのお問い合わせは以下のフォームからお願い致します。)https://peregrine.co.jp/contact/

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