NEWS RELEASEニュースリリース

◇ペレグリン 社長のコラム◇
第16回【為替変動の3つの要因】

COLUMN
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第16回
為替変動の3つの要因

昨年1年間で、ざっくり20円ほど為替が円安に進みました。その要因は、米国の金利水準が大きく上昇したことにより、日本とアメリカの金利差が開いたことだと考えられます。
一般的に為替レートの変動には、短期的・中期的・長期的と3つの要因があると言われています。

まず、短期的な要因は、日々の変動に影響を与えるもので、例えばFRBの金融政策がどうなるといった要人発言が挙げられます
来年の利下げの転換がいつなのか?もしくは利下げの幅はどうなるのか?このような見通しや解釈、予想は刻々と変化していくので、要人の発言によって金融政策の変化が見えると為替の短期的な変動に影響を与えますね。
他にも地政学的リスク、紛争の状況やニュース、こういったものも短期的な影響を与えます。

次に、中期的な要因というのが先にお話ししました実質的な金利の差と言われています。
その意味では、今後アメリカのインフレ率の上昇が少し緩やかになっていくのであれば、その差も開きにくくなるという点でドル安円高圧力になるという見方もできます。

そして長期的には、国家間の経済的な力関係、具体的には貿易が関係していると言われます。
金融取引は基本的にはすべて、「行って帰ってこい」です。つまり何かを買ったり投資をしたりすると、必ずどこかでは売却して手仕舞いをする、もしくは買い戻します。

しかし貿易における通貨の取引は一方通行です。
例えば、日本の企業が海外で商品を売り、外貨を得た場合、その外貨は決算のために円に戻しますよね。そのため、その支払いの差が、為替レートに影響を与えると考えられています。

日本企業が稼いだ外貨を円に戻す金額が多ければ多いほど、円買い圧力を生み、円高に向きやすくなります。反対に、貿易量が縮小または貿易赤字が拡大して、日本円に戻すお金が少なくなればその分円高圧力は弱まるということになります。

振り返ってみると、バブル以降、日本の貿易黒字が非常に大きく、アメリカからは長らく批判されてきました。逆にアメリカは貿易赤字、経常赤字と双子の赤字に悩んでいましたので、その意味では日本の円高が進んだことには裏付けがしっかりあったと考えられるのです。

近年では日本企業全体の海外売上高が縮小傾向にあり、貿易黒字も縮小傾向になってきています
このような見方に立てば、円高圧力は中長期的には弱くなってきており、以前のように、急激に、もしくは持続的に円高に進んでいく可能性は小さくなってきていると言えると思います。

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もう1つはインフレ率の差です。
購買力平価説という考え方が有名ですが、物の価値はどこで買っても本質的には同じと考えれば、その物に付けられる物価の差が為替レートに反映されるという考え方です。

答えを言うと、インフレ率が高い国の通貨は通貨安傾向になります。
その意味ではアメリカのインフレ率が高い時期はドル安円高傾向になりやすいということになりますし、今のように日本の物価も上がってきたという状況では日米のインフレ率の差が縮小するので円安圧力が強くなるという見方もできます。

もちろんこれは長期的な影響を与える要因という見方なので、すぐに反映されるとは限りませんが、結局のところどのような立場から考えるかによって見方や見通しも変わってくるのです。

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