元ファンドマネジャー【IFA佐々木のコラム㊿】
「NISA」と「つみたてNISA」、どちらを選ぶべきか?
資産形成・豆知識50.
「NISA」と「つみたてNISA」、どちらを選ぶべきか?
NISA(少額投資非課税制度)には、2種類の異なる制度があります。
「どちらが得?」と考える方もおいでと思いますが、損得ではなく、自分に合った利用法を考えるべきです。各個人の所得や貯蓄状況等は異なっているため、「損得」は一般化できません。
ただし、運用能力を切り口にするのであれば、短期売買に自信がある場合には「NISA」、資産運用のことがよくわからないのであれば「つみたてNISA」といえるかもしれません。
とはいえ、選ぶにあたって何らかの理由が必要と思います。
投資例の一つを比較したいと思いますが、初めに、それぞれの制度について復習しましょう。
【NISA】
①投資限度金額:年120万円
➁非課税期間:最長5年間(2023年が最終投資年)
③非課税限度額:600万円(120万円×5年)
④投資可能商品:株式、投資信託等(1万種類以上の金融商品から選べる)
【つみたてNISA】
①投資限度金額:年40万円
➁非課税期間:最長20年間(2037年が最終投資年)
③非課税限度額:800万円(40万円×20年)
④投資可能商品:国が定めた投資信託
(楽天証券の場合、対象投資信託は158ファンド(6月1日現在))
制度が異なるため単純に比較できませんが、今、それぞれのNISA制度を下記要領で開始した場合について分析します。
【NISA】
年間120万円ずつを、配当4%の株式(または、リート)に2023年まで連続投資した場合。
(投資期間5年を超えたものは、新NISAにロールオーバー(継続投資)すると仮定)
このケースで2023年の非課税投資が終了する2027年でのNISA運用状況は下記の通りです。
①総投資金額:480万円(=120万円×4年)
➁配当金合計:8万円(節税額 約25万円)
③2027年時点でのNISA資産額=総投資額+配当金合計+評価損益
=480万円+124.8万円+α(評価損益は不確実)
【つみたてNISA】
年間40万円ずつを、2%の成長が期待できるバランス型投信に2037年まで積立した場合。
このケースで2037年の非課税投資が終了する2056年でのNISA運用状況は下記の通りです。
①総投資額:720万円(=40万円×18年)
➁配当金合計:ゼロ (投信の分配金はゼロと仮定します)
③期待資産成長額:350万円(年2%の成長と仮定する。見込節税額 約71万円)
④2056年時点でのNISA資産額(積立金が年2%で成長したと仮定)
=総投資額+年2%の資産成長(期待増加金額)
=720万円+350万円(評価損益は不確実)
【NISA】のケースでは、評価損益が不確実ですが、配当金は非課税になるため、25万円節税できます。(常に4%配当の株式あるいはリートにできるとは限りません。)
【つみたてNISA】のケースでは、年2%の成長期待がありますが、2056年時点でどのような価格になるかわかりませんので、節税になるか否かは不確実です。収益が出ないと非課税のメリットを得ることができません。
いろいろなパターンが考えられますが、切り口の一つは、「自分に合った、非課税のメリットを最大限に生かす投資方法は何か?」ということであろうと思います。
配当や分配金を狙った投資の場合、確実に非課税のメリットを得られる可能性があるものの、無配や無分配金になる可能性があり、また、投資金融商品には評価損が発生する場合があります。
これに対し、投資金融商品の値上がり益狙いの場合、益が得られないならば、非課税のメリットを受けることができませんし、損益通算(他の口座の金融資産の損益と通算できる)もできません。
一長一短ありますので、自分に合ったNISA利用法をご検討ください。
佐々木幸喜(IFA佐々木へのお問い合わせは以下のフォームからお願い致します。)
https://peregrine.co.jp/contact/