NEWS RELEASEニュースリリース

元ファンドマネジャー【IFA佐々木のコラム.78】
日本銀行が国有化されたらどうなるのか?

COLUMN
6

資産形成・豆知識78.

日本銀行が国有化されたらどうなるのか?

日銀を国営と思っている人もいるかと思いますが、日銀は政府が55%、民間が45%出資している「認可法人」です。

 

ジャスダック市場に「出資証券」を上場しており売買可能です(銘柄コード8301)。
ただし、「出資証券」のため議決権はありません。

ところで、日本の国債発行残高は、約1,291兆円(令和2年度末見込み:財務省公表資料)であり、「財政危機」という記事が新聞・雑誌等を賑わすことがあります。
膨大な借金で「財政危機」とする意見と、日銀は日本国と一体であり日銀の保有する日本国債分を除けば「財政危機とはいえない」との意見もあります。

日銀は、通貨発行の裏付け資産、また、量的緩和(国債の購入)の結果として、日本国債を約536兆円分保有しており(営業毎旬報告:2020年11月10日現在)、この金額を日本の国債残高から差し引くと約755兆円になります。

 

つまり、国営化になると国債発行残高が約40%低下します。
これが、「財政危機とはいえない」という意見の背景です。
このことから認可法人であっても、日銀は政府と一体(ほぼ国営)であると見なす人もいます。

 

さて、日銀の国有化は可能なのでしょうか?

日銀の資本金は1億円ですので、国営化自体は難しくないように思われます。
(ただし、日銀の「独立性の維持」という点で、実際は困難と思われます。)

 

ここからは空想です。

もし、国営化が実現すれば、日銀は独立性を失い、量的緩和(国債の購入)が続くのであれば、国債を政府から直接購入することになります(日銀の国債引受)。
これは、政府が野放図に紙幣を発行できるようになったということであり、財政の健全性は大きく損なわれます。

また、同時に日銀保有の株式は日本国保有になります。
(日銀の保有株式は約35兆円 営業毎旬報告:2020年11月10日現在)

日銀の持ち株比率次第では、“国営”になる企業が出てくるかもしれません。
(50%超の持ち株比率で会社の支配権を得ることができます。)

 

佐々木幸喜(IFA佐々木へのお問い合わせは以下のフォームからお願い致します。)
https://peregrine.co.jp/contact/

ニュース一覧に戻る