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元ファンドマネジャー【IFA佐々木のコラム.142】
「規模の経済」と「規模の不経済」

COLUMN
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資産形成・豆知識142.

「規模の経済」と「規模の不経済」

「規模の経済」という言葉をよく耳にします。

規模が大きくなれば、業務効率化等で経済的にメリットが大きくなることを言います。

投資信託は、これに該当すると考えられています。

運用に係る費用(調査・分析等に要する費用など)は投信時価総額が増えても大きく増加しませんが、投信時価総額が増えると運用会社の運用報酬は投信時価総額に比例し増えます。

つまり、運用会社の観点からは、「規模の経済」が働きます。

しかし、投信時価総額が大きくなりすぎると、
投信購入者の観点からは「規模の不経済」が起きる場合があります。

一般的な投信は一銘柄当たりの投資金額を株式時価総額の5%未満としているため、投信時価総額が増えることにより購入可能銘柄が制限されることがあります。
(保有株数が多すぎると適正な株価での売買が難しくなるため、一般的には株式時価総額の投資上限を5%にします。また、5%を超えると、東証に大量保有報告書を提出し、保有目的などを開示する義務が生じます。)

例えば、投資銘柄数を50銘柄程度に絞っている投信が、投資資金の流入により時価総額50億円から1兆円に成長したとします。

このとき、1銘柄当たりの投資金額は200億円程度になります(=1兆円÷50銘柄)。
しかし、投信の運用方針が「一銘柄当たりの投資金額を株式時価総額の5%未満とします」としているのであれば、投資可能な株式は時価総額4,000億円以上(=200億円÷5%)の銘柄になる可能性があります。

つまり、投信の時価総額が大きくなるにつれ、保有銘柄は成熟した大型銘柄が中心になり、小型成長株への投資が難しくなります。また、小型成長株に投資したとしても、その投資割合が小さくなり、その投信に期待していた資産成長が当初に比べ小さくなる可能性があります。
(東証に上場している会社数は約3,900社であり、そのうち株式時価総額が4,000億円を超えているのは約300社です:2021年末現在

「成長が期待できる小型株への投資が難しくなる。あるいは、購入したとしても資産成長へのインパクトが小さくなる」・・・・これが投信購入者の観点からは「規模の不経済」になります。

投信の特性が維持されているかチェックするためには、時価総額の変化に合わせ保有銘柄を確認することが望ましいと言えます。

佐々木幸喜(IFA佐々木へのお問い合わせは以下のフォームからお願い致します。)

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