元ファンドマネジャー【IFA佐々木のコラム.153】
「金融引き締め」と「量的引き締め」の違いは何か?
COLUMN
資産形成・豆知識153.
「金融引き締め」と「量的引き締め」の違いは何か?
2021年後半から、「金融引き締め」や「量的引き締め」に関する記事・ニュースが増えています。
「金融引き締め」と「量的引き締め」の違いは何でしょうか?
「金融引き締め」は、政策金利(短期金利)の誘導目標を引き上げることです。
それに対し、「量的引き締め」は世の中に出回っているお金を減らすことです。
この「引き締め」は、インフレに対処するためのものです。
また、新型コロナへの対策として、金利を引き下げ(景気減速を緩和するため等の「金融緩和」)、社債や国債の買い入れ(企業の資金繰りを円滑にするため等の「量的緩和」)を終了し、経済正常化に向けた動きでもあります。
これらの「引き締め」によって何が起きるのでしょうか?
「金融引き締め」で金利が上がると、企業は社債の利払い金額が増えるため社債発行を減らすかもしれません(企業活動の減速)。また、個人は住宅ローン金利が上がるため、住宅購入意欲が低下するかもしれません。
「量的引き締め」で世の中に出回っているお金が減ると、金融機関は融資先を厳しく評価します。返済能力の高くない人への貸し出しを減らす可能性があります(ハイ・イールド債券やジャンク債券が売られやすくなります。)。
これにより、資金繰りが苦しくなった企業の経営破綻が増える可能性があります。
どちらの「引き締め」であっても、経済活動にマイナスの影響を及ぼします。
それゆえ、金融市場は、どちらの「引き締め」が、いつ、どのように実施され、そして、規模、スピードが、どの程度になるか注目しています。
このような時には、思惑で株価の変動性が高まる(価格が上下に激しくブレる)場合があります。
佐々木幸喜(IFA佐々木へのお問い合わせは以下のフォームからお願い致します。)