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元ファンドマネジャー【IFA佐々木のコラム.187】
仕組み債は債券なのか?

COLUMN
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資産形成・豆知識187.

仕組み債は債券なのか?

2022年8月24日の日経新聞の報道によると、「金融庁と証券取引等監視委員会は「仕組み債」について、メガバンクや地域銀行、証券会社などの販売実態を総点検する。」とのことです。

債券は安全性が高い(経営破綻等が無い限り、債券元本は償還される)にも関わらず、仕組み債は元本が毀損する場合のあることが一因のようです。

仕組み債とは、あらかじめ定めた条件が満たされると高い利回りが得られ、また、元本が100%返済されます。そして、条件が満たされない場合には元本が毀損します。

下記は、A社株式を対象にした仕組み債の例です。

(購入時)A社株式の現在の株価が100の時、1,000万円(元本)の仕組み債を購入する

(条件)
1.  A社株式が1年間、70以下にならなければ、元本1,000万円は償還され、XX%の利息が得られ
2.  A社株式が70以下になった場合、A社株式を100で買わなければいけない
(元本1,000万円の代わりに、A社株式10万株が支払われる)

上記例では、条件が満たされない場合、現金1,000万円がA社株10万株に変わります。
しかし、その時のA社株価が70であれば、時価は700万円です。
投資資金1,000万円に対し、300万円の損失になります。

その後、A社株価が変動し100(1,000万円)に上昇するかもしれませんが、50(500万円)に下落する可能性もあります。つまり、株価の変動に応じ資産価値が変動します。

ところで、Wikipediaによると通常の債券は、下記の通り説明されています。
「資金調達を目的として、元本を返済する一定期限(最終償還日)までの期間、一定期日に一定利率の利息を支払うことを約束した証券。」

仕組み債は、通常の債券とは明らかに異なる性質のものです。
上記例では、仕組み債発行者は資金調達よりも株価下落リスクのヘッジを目的にしているように思えます。

仕組み債は、通常の債券と混同しやすい、まぎらわしいネーミングであるかもしれません。

仕組み債は、むしろ、クジに近い性質を持っているように思います。

条件を満たせば元本と利息が得られ、条件が満たされない場合は元本が毀損するクジです。
仕組み債という名称ではなく、性質をイメージしやすい名称に改めることが望ましいのかもしれません。

佐々木幸喜(IFA佐々木へのお問い合わせは以下のフォームからお願い致します。)

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