元ファンドマネジャー【IFA佐々木のコラム④】
あなたの金融資産、どんなリスクがあるのかご存じですか?
リスクのない金融商品(現金や預金を含む)はありません!!第三回
資産形成・豆知識4.
あなたの金融資産、どんなリスクがあるのかご存じですか?
リスクのない金融商品(現金や預金を含む)はありません!!第三回
前回同様、下記2つのリスクの観点から、株式について解説します。
- 金融資産の価格(量)が減少するリスク
- 金融資産の価値(質)が減少するリスク
5.株式
株式は売り/買い、両面ありますが、ここでは「買い」の場合について解説します。株式は企業活動を開始する資金を調達するために発行されます。投資家は、会社の一部(株式)を所有する見返りに資金を提供し、企業活動の成果に応じ配当を受け取ります。しかし、企業活動には多くの競争や経済活動環境の変化があり、企業業績は日々変動します。この業績変化だけではなく、需給等により株価は変動しますが、その変動性は非常に大きくなります(平均的に年±20%程度変動します。)。企業の個別性が大きいため、株価変動性は業種、企業規模、地域等の違いにより大きく異なります。株式は、「金融資産の価格(量)が減少するリスク」が非常に大きい金融商品です。
➀株価変動リスク
株価は年間±20%程度変動します。景気敏感株である半導体関連企業や業績の振れ幅が大きい新興市場株式は、年間変動幅が±30%を超えることも珍しくありません。経営破綻した場合には、企業価値がゼロになるので、株価はゼロになります。
➁為替変動リスク(外国株式の場合)
外貨建て債券の場合には、このほか、外国為替の交換レートが変化することによる「価格(量)が減少するリスク」があります。通常、債券の価格変動性は小さい(国や年限によって異なりますが、10年の国債で年間の価格変動性は±10%未満)のですが、外貨建て債券の場合は、為替変動が加わるため、外貨建て債券の価格変動性は5%~10%増えます(通貨によって異なります。)。しかし、株価変動リスクが為替変動リスクを大きく上回るため為替変動リスクは、通常、考慮しません。特に、株式の保有期間が短い場合には、ほぼ無視します。
6.仕組債(他社株償還条項付債(EB債)の場合)
仕組債は、株式の動きに連動し、利率等が決まるため「債券」という名称が使われますが、その仕組みの中核はオプション(選択権売買)の売りです。オプションを売却し保険料(プレミアム)を得ますが、保険義務が発生した場合には、その損害を補償しなければなりません。
典型的な例は、株価が一定の範囲内で動いていれば、保険料が5%の利子の原資になりますが、株価が30%下落すれば、その株式を100%の価格で買い取るといった仕組みです。この場合のリスクは、「金融資産の価格(量)が減少するリスク」ですが、今まで見てきたリスクと特性が若干異なります。
➀「金融資産の価格(量)が減少するリスク」/突然死(損失)のリスク
ノックイン・オプション(選択権売買)で組成されている仕組債の場合においては、株価が(例えば)30%下落したときに、その株式を100%で購入する義務が発生します。30%未満の下落であれば、このような義務は発生しない、すなわち、損失がゼロから突然マイナス30%に変化するためリスク管理がとても困難です。
➁機動的な売買ができないリスク/損失を限定できないリスク
仕組債は、株式のような流通市場がありませんので、保有する仕組み債を売却することが困難、あるいは、売却価格が想定以上に低くなるリスクがあります。仕組債購入者は、仕組債の満期日まで保有する覚悟が必要であり、あるいは、ノックインされる可能性があっても、そこで発生しうる損失を限定できない可能性が非常に高いといえます。
(優遇税制等がある場合を除き)資産運用にフリーランチ(リスクを取らずに利益を得ること)はあり得ません。利益が得られる可能性は、「リスクを取る見返り」からしか生まれません。
この原理原則を頭に入れて、自分が取れるリスクの範囲内で資産運用を行う必要があります。
自分が取っているリスクを認識せず資産運用で収益を得る場合もありますが、それは単に「運」が良かっただけであり、継続性(長期安定的に同様の成功を続けること)はあり得ません。
リスク/リターンを理解し資産形成を行うことが、収益を安定的に上げるための第一歩です。
佐々木幸喜(IFA佐々木へのお問い合わせは以下のフォームからお願い致します。)https://peregrine.co.jp/contact/