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元ファンドマネジャー【IFA佐々木のコラム⑧】
経済成長は年金財政を安定させるのか?
人口構成が変わらなければ、根本的な解決になりません。

COLUMN
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資産形成・豆知識8.

経済成長は年金財政を安定させるのか?
人口構成が変わらなければ、根本的な解決になりません。

政治的には、「年金制度を安定させるためには経済成長が必要である」と語られることがあり、なんとなく正しいように思われますが、現行の年金制度が賦課方式(加入者(若い世代)の掛金を年金受給者(65歳以上)の年金に充当する方式)であるため、経済成長の年金制度安定への寄与度は限定的です。

現行の仕組みは下記の通りです。

経済成長がこの仕組みにどのような影響を与えるのか考えてみましょう。
(1)国庫・公経済負担
経済成長により税収が増え、負担額が増えることもあり得ますが、他の社会保障費用も今後増えると見込まれており、また国の一般会計に占める割合が大きくなりすぎるため、この負担を増額することは難しいと思われます。

(2) 年金掛金
掛金は給与の18.3%(労使折半)で、この割合を上限とすることを法律で定めています(高所得者の掛金には上限があります)。このため、掛金総額を増やすためには給与が増えなければなりません。経済成長とともに給与が上昇することが必要条件となります。しかし、少子化により掛金を払う人は減少しますので、年間掛金を増やすには、給与を増やすだけではなく、加入者の給与総額が増える必要があります。

(3) 年金給付
年金受給者数はしばらく増え続けますが、その後、各年齢層の人口減少により、年金受給者数は減少すると見込まれます。しかし、長寿化により年金受給者数の減少は想定よりも緩やかになる可能性があり、また、年金支給額は物価に一定程度連動しますので、経済成長に伴い物価上昇が起きるのであれば支給総額も増加します。

 

年金財政を安定させる最良の方法は加入者(年金掛金を納付する人)を増やすことであり、そのためには有効性ある少子化対策が望まれるところです。また、女性の就業率を上げることは、労働人口の減少を補うためだけではなく、年金財政の安定に寄与するという点においても重要なことです。現在議論されているパート・タイマーの厚生年金加入案もこの文脈の上にあることは明らかです。

このようなことから、経済が成長しても給与が上がらなければ、年金財政は改善しないことがわかります。また、給与が上がって物価が上昇した場合には中立にしか作用しません。最悪は、「給与が上がらず物価が上昇した場合」で、年金財政は悪化する可能性があります。

最善のシナリオは、「給与が上がり物価が下落すること」ですが、経済成長下でこのような状況が生まれるのかは疑問です。

 

佐々木幸喜(IFA佐々木へのお問い合わせは以下のフォームからお願い致します。)

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